米ヤフーと「ねじれ関係」
ヤフーの発行済み株式は、ソフトバンクが38.6%を保有し、米ヤフーは34.78%で2番目だ。検索エンジンの採用で日米ヤフーは別の選択を行い、いわば「ねじれ」の状態になる。井上社長は、グーグルの採用について「(米ヤフーの)意に反して決定したわけではなく、経営トップと相談のうえ決めた」と説明。今後の両社の関係も全く変更はないという。
米国では「グーグル対ヤフー・MS連合」の図式だが、検索エンジンだけをとると日本は違う戦略だ。アスキー総合研究所の遠藤諭所長は、この「ねじれ現象」について「米ヤフーの世界戦略は、日本のヤフーにとって関係ない、違う軸で動いていくとの印象が強まった」と話す。そもそも今回の提携は、米ヤフーが独自のエンジンを捨てMSと組んだことが理由の「消極的」な出発点だったが、「検索エンジンとして最適、しかも広告システムに優れているグーグルを選ぶのは自然」と見る。筆頭株主ではない米ヤフーも「仕方ない」と了承するしかなかったのではないか、と遠藤氏。
井上社長は、現在使用している米ヤフーの検索エンジンでも、日本人ユーザーに提供する付加価値の高い情報は日本側で独自に提供していると話す。今後グーグルが検索の基盤になっても、高い自由度をもってサービスにあたると独自性を強調した。グーグルとの連合で、日本での検索市場のシェアは9割に達すると見られる。両社の検索、広告配信システムに関する契約期間は当初2年間。その間、どこまでヤフーは「独立性」を発揮できるかが注目される。