市長派市議は擁護論
議会では少数派となる市長派の石澤正彰市議に話をきくと、「これまで市長提案をロクに議論もせず、何から何まで否決してきた議会(多数派)の主張に正義はない」「市民の目線で動いているのは市長の方だ」と擁護した。
地方自治法に詳しいある国立大学法人の教授は、専決処分の連発は「法が想定していない事態だ」と指摘する。市長側が主張する「正義」については、「市議も市民から選ばれている。『議会が言うことを聞かないから』はまったく正当化の理由にならない」と退けた。
打開策については、市長のリコールを含めた「住民自身による判断」で決めるしかない、という。その上で、今回のケースは「極めて特殊だ」として、この件が契機となり、地方分権に逆行する形で国による地方関与を強める動きが出ないよう、警戒する必要がある、とも述べた。
また、鹿児島県霧島市の志學館大学の長谷川史明教授(憲法学)は、「教科書通りの民主主義だけでは限界があることを示した事例といえる」。とはいえ「民主主義が揺らぐ、などと大袈裟に騒ぐ話だとも思わない」とし、第3者を介して市長側と議会側が話し合いを始める土壌作りに知恵を使うべきだと提言した。あくまで特殊で一時的な現象というわけだ。
<メモ:阿久根市の最近の市長選と市議選の流れ>
09年2月、市議会が竹原市長の不信任案を可決したため、市長が議会を解散した。出直し市議選を経て議会が再度不信任を決議したため市長は失職した。09年5月の出直し市長選で竹原市長が再選された。10年6月末、住民団体が竹原市長のリコール運動の準備を始め、8月からの署名集めを目指している。