日本企業のキャラクター商品や化粧品などの模倣品が中国の大手ショッピングサイトで大量に売られており、経済産業省に寄せられた相談がこの1年で急増した。
中国最大手のショッピングサイト「タオバオ」では、衣料品、化粧品、インテリア雑貨、食料品などさまざまな商品が売られている。日本でおなじみのキャラクター商品も多く、ドラえもん、アンパンマン、Dr.スランプ アラレちゃんなどのぬいぐるみやグッズや、日本メーカーの洋服もある。
「タオバオで偽物が売られている」
「タオバオ」では50cmのドラえもんのぬいぐるみが54.90元(約705円)で売られている。商品写真の横に、偽物の例として粗悪なドラえもんのぬいぐるみの写真を数点載せ、商品が本物であると主張しているようだ。もっとも、このぬいぐるみが偽物かどうかはわからないが、日本企業向けに外国語サイトを制作するエクスポート・ジャパン(大阪市)の担当者は、「タオバオで偽物が売られているのは間違いない」と指摘する。
「メイド・イン・ジャパンにはブランド力があり、中国人に人気なので、日本の商品の模倣品も売られています。タオバオは場所を貸しているだけで、実際に売っているのは業者ですが、タオバオは業者をコントロールできずにいます」
模倣品の売り方も巧妙になっている。ドラえもんのぬいぐるみのように、商品写真の横に複数の模倣品の写真を載せ、本物であることをアピールする売り方はよくあるらしい。
経済産業省製造産業局は模倣品、海賊版に関する調査結果を2010年6月30日に公表した。それによると09年に日本企業などから受け付けた相談や情報提供は1016件で、08年の約5倍に増えた。インターネットの普及で模倣品を販売するサイトが急増したと見ている。
ネットで売られる日本商品のほとんどが模倣
経済産業省によると、海外での模倣被害率は中国が62.0%と突出していて、台湾24.2%、韓国22.2%と続く(08年度)。中国は「世界の一大製造拠点」で、日本企業のあらゆる商品の模倣品が生産されている。製造地域は広東省、浙江省、江蘇省、福建省などの沿岸部が中心で、最近は当局の取締りが厳しくない内陸部に移行しているそうだ。
模倣被害を受けた日本企業のうち、約5割がインターネット上での模倣品の販売取引などの被害だった。中国はインターネット関連の法制度が未整備で、「大手サイトにおける模倣品の汚染率は非常に高い状況」と経済産業省は見る。
同省が09年度に中国の大手3サイトで販売されている日本企業の商品9 品目を買い、真贋判定を実施するなどして汚染率(模倣品の割合)を算出した。その結果、日本企業の化粧品、キャラクター商品はすべて模倣品で、日本企業の衣類も偽物が占める割合は99.5%と高く、玩具は93.3%、時計は73.2%だった。
消費者向け(B2C)サイトだけでなく、企業向け(B2B)サイトで模倣品を販売するケースも増加している。B2Bサイトでは商品の取扱単位が大きく、B2Bサイトの拡大によってさらに深刻な問題になると懸念されている。