地方企業に投資を呼び込むため、大阪証券取引所が工場見学会を主催する。ジャスダックに上場する企業の工場や施設などの「現場」をめぐるバスツアーで、大証には企業のIR(投資家向け広報)活動を支援することで市場を活性化する狙いがある。
第1弾は2010年9月7日。長野県に主要工場のある精密減速機などのハーモニック・ドライブ・システムと、建設機械や攪拌機の竹内製作所を見学に行く。
地方企業にスポットをあてる
大証の「工場・施設見学バスツアー」は、機関投資家やアナリストが対象。定員は20人で、長野(JR上田駅)までの往復の交通費は自己負担だが、昼食代と移動のバス代は大証の負担。ハーモニック・ドライブ・システムの穂高工場と竹内製作所の本社工場を、それぞれ約2時間かけて見学する。
大証は、新興市場のジャスダックとヘラクレスの市場統合を、2010年10月に控えている。「新市場」のスタートにあたって、「地域性」を目玉の一つに据えている。
地方企業はなかなかスポットがあたらない。工場見学も知名度の高い大手企業であれば、見学コースが整っていて、おみやげ付きと、まるで「観光スポット」のようなところもあって、ホームページで呼びかけるだけで参加者も多数集まる。
一方、ジャスダックに上場するようなベンチャー企業や中小企業は、見学希望者がなかなか集まらないなど、自ら工場見学会を開きたくてもできない。大証は、「ベンチャー企業などはIR活動に人や時間、お金を思うように割けないのが実情。そこを支援し、投資家に大証に上場する企業を知ってもらい、投資判断の材料にしてもらいたい」(ジャスダック本部)と話す。
ハーモニック・ドライブ・システムは株主を対象に1度、工場見学会を開いた経験があるが、竹内製作所はまったくの初めてという。工場見学を通じて、機関投資家やアナリストに企業の強みや魅力を伝える。
ノウハウ蓄積し将来は個人投資家も対象に
工場見学ツアーのもう一つの狙いは、未上場の地方企業の上場を支援することだ。これまでもすでに大証は、企業のIRセミナーの開催支援や、アナリストによるリポートの制作支援などに取り組んでいて、今回の工場見学も「IR支援の延長線上にある」(ジャスダック本部)と話す。
&NBC; 企業支援に手厚い「新市場」をアピールすることで、未上場企業の掘り起こしを図る。
大証は、「初回は機関投資家やアナリストを対象としたが、ノウハウを蓄えて、これからは年2回くらい、定期的に実施したい。将来的には個人投資家の参加も考えたい」と話している。