ダイヤ並みに1億円もする例も
日本宝石珊瑚協会によると、国内で獲れる宝石サンゴの「原木」は大きくて、美しく、海外で人気が高い。9割以上を輸出し、なかでも需要が高いのは台湾で、サンゴの世界的な集散地となっている。台湾で加工されて宝飾品になり、中国に輸出される。台湾でも加工品が売られ、サンゴ目当てに中国人のお金持ちが1日に6000人ほど訪れるという。高いものは1つで数千万円や1億円するものもある。
欧米ではルビーやサファイヤのような透明感のある宝石が人気だが、アジアでは翡翠、サンゴ、真珠といった透明感のない宝石が親しまれてきた。中でも赤いサンゴは中国人に人気が高く、値段も高い。
宝石サンゴを獲る漁業者が大儲けする一方で、前出の高知県工業振興課の担当者は「良いことばかりではない」と指摘する。
ワシントン条約締約国会議がカタールの首都ドーハで2010年3月に開かれ、宝石サンゴを輸出許可制の対象に加える提案がされた。もっとも、採決で否決されたが、原木の価格が上がれば乱獲の恐れがあり、2013年に開かれるワシントン条約第16回締約国会議で再び論議になりそうだ。
もう一つの問題は、原木が値上がりして高知県内の加工業者が手を出せなくなったこと。加工の仕事ができなくなり、業者にとっては死活問題となっている。また、サンゴは加工することで、値段が大きく跳ね上がる。このままだと「お金が落ちてこない」わけで、関係者は不安を募らせている。