中国人のお金持ちにサンゴの宝飾品が売れている。そのあおりで、世界有数の産地、日本の「原木」が高騰し始めた。これまでの相場の1.5~2倍にもなり、漁業者は大儲け。一方、国内の加工業者は「異常」なほど値上がりした原木に手が出せず、死活問題だと言っている。
このサンゴは宝石サンゴ(八放サンゴ)と言われるもので、色は赤、桃、白などがあり、およそ20種類に区別されている。大きくなるのに年数がかかる上に、養殖ができないため、希少価値があり、過去に取引価格が下落したことはない。高知県、長崎県五島列島、鹿児島県、沖縄県周辺の海で獲れ、「原木」の入札はすべて高知県内で行われる。
原木価格は1年で平均1.5~2倍に
高知県工業振興課によると、2008年に落札された宝石サンゴ(原木)の数量と金額は、高知県産が2328kg、6億686万5000円、鹿児島県産が485kg、2億751万円、沖縄県産が954kg、2億2827万円だった。
県工業振興課担当者は、
「09年のデータはまだありませんが、落札量が増え、単価は上がる見込みです。09年10月に行われた入札会で、業者が『相場の5割増しだ』と言っていましたし、10年2月の入札会では相場の2倍になり、『ちょっと異常だな』という声も聞きました」
と明かす。
日本宝石珊瑚協会(東京都台東区)の担当者も、
「原木価格はこの1年間で平均1.5~2倍になりました。いいものほど値上がりしています」
という。
原木が値上がりしている理由は、「中国でお金持ちが増えて中国向け市場が急拡大しているため」と口を揃えた。