建設中の「東京スカイツリー」(墨田区)をひと目見ようと見物客が連日押し寄せている。地元の商店街ではスカイツリーをモチーフにした商品を売り出したり、「東京スカイツリー音頭」が登場したりと活気づいている。
建設現場に近い墨田区押上・業平橋地区の商店街にある「そば処かみむら」は、かき揚げの上にエビ天3本を立たせ、高さ約25cmの「タワー丼」(1800円)を2010年2月末から売り出している。2代目店主の伊藤松博さんによると、土日は1日50食以上が売れている。
野菜と鶏肉ロールを約20cmの高さに
南仏料理「ビストロ サブール」では、鶏肉を使った料理「タワーチキン」(1500円)を4月からメニューに加えた。鶏肉に詰め物をしてロール仕立てにする。これを約20cmの高さに積み上げて先端にヤングコーンを刺し、スカイツリーを表現したという。みかんを使ったさっぱりソースと、和風のソースの2種類。作るのに2~3日の手間がかかるという。
「タワーの真下なので何かできるものはないかと考えました。メディアに取り上げられ、お客さんが増えました」
とオーナーの立田豊さんはいう。
こうした盛り上がりにあやかろうと、押上・業平橋地区の5つの商店街と墨田区は、オリジナルキャラクター「おしなりくん」を作った。老舗のせんべい屋「みりん堂」は、「おしなりくん」のイラストをこてで押した手焼きせんべい「おしなり焼」(1枚100 円)を売っている。手作りなのでたくさん作れず、生産が間に合わない、とうれしい悲鳴を上げている。
盆踊りの定番になりつつある
地元を盛り上げようと、「東京スカイツリー音頭」も登場した。
「大東京の どまんなか 隅田の流れ 眼下(した)に見て 東京 東京 スカイツリー」という歌詞で始まる。作詞したのは、墨田区の作詞家、故高橋豊さんで、同区の作曲家、林正臣さんに話を持ちかけ、06年秋に完成。日本舞踊の寿々喜(すずき)流宗家で「舞の会」インターナショナル(墨田区)の寿々喜美恵さんが振り付けした。
喜美恵さんの息子である寿々喜美州会長は、
「この夏、区内の盆踊り大会でも『東京スカイツリー音頭』が流れる予定で、盆踊りの定番になりつつあります」
と期待する。
7月24日に東京・上野で開かれる「うえの夏まつり」のパレードでも使われる。区内にとどまらず、足立区や名古屋、ハワイなど国内外から引き合いがあるそうだ。
隅田川からスカイツリーを眺められる屋形船も人気が高い。東京・浅草橋から発着場する野田屋(東京都台東区)では、5月に始めた東京スカイツリー見学サービスが好評で、8月末まで延長する。神田川を経由して、隅田川に出る。経営者の中村幾男さんは、
「ツリーがだいぶ高くなってきたので、吾妻橋や蔵前橋付近などの少し離れた場所から見るのがおすすめ。夏場は夜間にライトアップするそうなので、昼間とひと味違った風景が見られますよ」
といっている。