自分も苦しい中で相手を思いやれるか
主人公のウッディは「日本人的リーダーだと思います」
とりわけ、主人公・ウッディと仲間たちとの関係は「絆」の大切さを思わせる。劇中、おもちゃたちは手違いが重なり、保育園に寄付されることになってしまう。ここは凶暴な幼児と意地悪な古参のおもちゃたちが取り仕切る、地獄のような場所。そこから抜け出そうと、リーダーシップを発揮するのがウッディだ。
名越さんは「(ウッディは)日本人的リーダーだと思います。見た目もひょろっこいし、顔も地味だよね」と話す。派手さはないが仲間の気持ちをくみ上げようと奔走し、自分の信念は絶対に変えず行動する。「(ウッディのように)みなが苦しく、自分も苦しい中で、相手を思いやれるか」は作品を貫く大切なテーマでは、と指摘する。
その上でとくに、クマのぬいぐるみ・ロッツオと持ち主の女の子が離ればなれになる場面に、名越さんは「正しさは1つじゃないと感じさせるエピソードでした」と振り返った。
「人それぞれに正しさがあるんです。真理はひとつじゃない。真理と真理の間で自分側は何を我慢するか。そして相手側の真理を理解してあげられるか。日本人が今、学んで欲しいことだと思いました。僕たちが一生、問い続けられる課題だと思うからです。映画はそれを見事に描いています」
映画には、考えさせられるメッセージが随所に散りばめられているため、大人にこそ見てほしい映画だと名越さんは繰り返した。「自分たちの課題として受け取れる部分がきっとあると思います」