iPhone 4出始めた悪影響 株価は下落、「リコール」憶測も

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   米消費者団体の専門誌「コンシューマー・リポート(CR)」に、「購入推奨しない」といわれたアップルの多機能携帯電話「アイフォーン(iPhone)4」。CRが発表した翌日には、アップルの株価が一時大きく値を下げるなど、その影響が出始めたようだ。

   アイフォーン4の「電波障害問題」は、当初IT系のブログメディアが中心に報じていたが、CRの評価が出ると主要メディアも大きく取り上げ始めており、一部には「リコールか」との憶測も呼んでいる。

ハイテク株上がる中「1人負け」

ケースを使えば電波障害も解決か
ケースを使えば電波障害も解決か

   CRは米国時間2010年7月12日、アイフォーン4の電波障害についての実験結果をウェブサイトで公表した。電話機側面にある黒い線状の部分を指で押さえると、電波の感度が低下することを確認。「アンテナ表示の問題で、ソフトのアップデートで対処する」とするアップルの姿勢を疑問視し、「アイフォーン4の購入は勧められない」と結論づけた。

   CRウェブサイトによると、同誌は「米国でトップ10の発行部数を誇る雑誌」であり、関連2誌を合わせた購読者数は800万部超。全米各州に商品をテストする実験場を持つ。広告を一切受けない媒体のため、製品の評価に対する読者からの信頼は厚い。アイフォーン4に対するCRの評価が出た翌13日には、ウォールストリートジャーナル紙やロサンゼルスタイムズ紙などの米主要紙が大きく報じたことからも、CRの信用度がうかがえる。

   アップルの株価にも影響を与えたようだ。13日のナスダック市場での同社株価終値は、前日比2.1%安の251.80ドル。一時下げ幅は4%を超えた。この日は、アイフォーンの「ライバル機種」であるスマートフォン「ブラックベリー」を有するリサーチ・イン・モーションや、アンドロイドOSを開発したグーグルなど、ハイテク関連銘柄は全般的に好調だったことから見て、アップルは「電波障害問題」が悪材料になって1人負けしたと考えられる。

電話機を覆うケース無料配布できるか

   そんな中、IT系メディアの間ではアイフォーン4のリコールの憶測まで出始めた。CNETニュース(英語版)によると、仮にアップルがリコールを実施した場合の経費の総額はおよそ15億ドル(約1335億円)に上る。これはアップルの手元現金資産の3.5%に相当する莫大な金額だ。

   とは言え、全面的なリコールの可能性は極めて低いだろうというのが多くのITアナリストの見方だ。確かに、実際に電話機を握ると電波の受信状態は悪くなる。しかし、例えば電話機をカバーで覆って使えば、側面を持って通話しても電波障害は起きず、問題は解決するというわけだ。アップルが販売する「バンパー」というケースは、米国では29ドル、日本でも2800円で手に入る。一部のアナリストは「リコールすることを考えれば、バンパーの無料配布で解決するなら安いものだ」と指摘する。

   そもそもアップルは、非公式ではあるが以前、電波の受信障害に対してはケースを使って対応してほしいと説明していた。問題は、現在有料で売られているバンパーを無料で配る判断をアップルがするかどうか。ちょっとでもケチって「受信障害が起きる方にはバンパー半額にします」などとしたら、ユーザーは「このうえまだ商売するのか」と怒りが増幅しかねない。

   「アイフォーン買ってはいけない」という評価が広く報じられた以上、アップルは一刻も早く対応を急ぐべきだと考えられるが、同社は7月2日に「電波障害はソフトのアップデートで解決する」旨をサイト上で発表して以来、沈黙を守ったままだ。

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