儲かっても給料は上がらない
日銀が2009年度の給与改定時に参考にしたメガバンクなどの平均年収は888万6000円(平均年齢40.4歳)で、前年度に比べて1.3%減っていた。それもあって、日銀職員の09年度の給与は1.0%カットで支給されたわけだ。カット率について、日銀は「民間金融機関の給与はあくまで判断の材料の一つなので、低いほうに合わせたり、高くしたりするわけではありません」(政策広報課)という。
一方、日銀の09年度決算によると、人件費などを差し引く前の経常収入は8133億円で、経常収益は3665億円。当期剰余金は前年度比22.3%増の3489億円だった。
日銀の利益は、銀行券を発行して市中に資金を供給すること(民間銀行への貸出金等)などで得られるが、いま「儲かっている」のは、政府が景気低迷による経済政策で増発している長期国債を、日銀が引き受けているためだ。
最近は政府や与党の一部に、日銀の長期国債の買い増しをさらに期待する向きもあって、10年度はもっと儲かる可能性もなくはない。
日銀は、「給与は収益とは切り離して考えている」と強調する。いずれにしても日銀の「儲け」は国庫に入るのだから、日銀職員にとっては、景気回復で民間金融機関や一般企業の給与が上がることが、自らの給与を引き上げる手立てなのだ。