銀行の定期預金も理論上は「二重取り」
最高裁の判決を受けて「二重課税」の対象となる可能性の高い保険商品は他にも、契約者が保険料を掛けて退職後に年金として受け取る、一般的な「個人年金保険」がある。年金を受け取っている途中に受取人(契約者)が死亡した場合には対象となり得るのだ。
個人年金保険は銀行の窓口でも買える保険商品なので、「問い合わせが多くなるようだと、対応窓口を置く必要があるかもしれない」(地銀幹部)と、販売した銀行側も心配する。
二重課税「疑惑」がある金融商品は、銀行が取り扱う「定期預金」もそうだ。たとえば、期間3年の定期預金に預けて、1年後に預金者が亡くなった場合、その時点の元金と利息に相続税が課せられる。その2年後に定期預金が満期を迎えたとき、今度は満期時の利息に20%の所得税が課せられる。つまり相続時の1年分の利息について、「二重取り」されることになる。
ある銀行関係者は「定期預金や個人向け社債など満期がある金融商品は、理論上では二重課税の可能性があるということです」と話している。
1968年から続いていた課税方法に風穴が開いたことで、金融機関は困惑ぎみだが、ある税理士は「今回の最高裁の判決は、相続税を払っているお金持ちが対象です。個人年金保険は広く浸透している商品ですが、どうでしょうか。銀行の定期預金も、数千万円から1億、2億円を預ける人ですから、そんなに膨大な数にはならないんじゃないですか」とみている。