「人為的にどちらかの箱を選ばせることは可能」
一方、スペインでは、サパテロ首相が試合後、現地ラジオ局の取材に「(タコの安全が)心配だ。(食べられないよう)保護チームを派遣しようかと考えている」と発言するなど「国際問題化」している。「タコは今後食べない」との宣言がネットに登場し、中にはタコを出すのを止めた店も出たとの報道もある。
それにしても、タコがエサを目当てにフタを開けることなどできるのだろうか。以前、特別展「タコの能力」などに携わったことがあるアクアワールド茨城県大洗水族館の50代の担当者に聞いてみた。
「訓練すれば可能ですよ。好奇心の強いタコなら2週間ぐらいでできるでしょうか」
透明な瓶の中にエサを入れ、最初は穴があいたフタを使うと、タコは視覚と嗅覚を使ってエサに気付く。フタも簡単にあくようにしておき、次第に少しずつ難しくする。中には、緩くしめた回転ネジ式のフタをあけることができるようになるタコもいたそうだ。慣れてくるとフタに穴をあけなくてもエサを狙うようになる。
では、パウルのように「予言」もできるのだろうか。この担当者は「できないでしょうね」と言下に否定した。「疑うわけではないですが、臭い用の穴やエサの好みの差などを利用すれば、人為的にどちらかの箱を選ばせることは可能ですね」と指摘した上で、「でもそんなことを言っては夢がないと怒られるかもしれません」と話していた。
パウルは7月9日夕(日本時間)、3位決定戦のドイツ―ウルグアイ戦はドイツ勝利、と「予言」した。