電力会社の悩みの種「高齢原発」 関電が「最長50年で廃炉」方針

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美浜原発1号機後継は「建て換え」で対応か

   旧通産省(現経済産業省)が「30年たっても、適切に管理すれば安全な運転が可能」などと楽観的だったのに対して、原子力安全委員会は「60年は技術評価のため工学的に無理のない範囲で設定した期間で、60年の運転を前提としたものではない」と釘を刺すなど、政府内部に温度差があった。

   このため、日本の原発が40年を迎えた現在も、原発の耐用年数に明確な基準はない。米国政府は電力会社に40年間の運転を認めており、さらに最長60年まで延長が可能という。つまり、40年超の運転は世界的に「未知の領域」で、部品交換と点検を適切に進めながら管理するしかないのが実情なのだ。

   国内での原発の新たな建設には反対運動が強く、新規建設には1基4000億円ものコストがかかるため、電力会社は新設には慎重で、原発の長期運転容認を政府に求めてきた。

   ところが今回、関西電力の森詳介社長(当時)は6月末の会見で、美浜原発1号機について「50年超の運転をするつもりはない」と明言。「その意味からも後継機の検討を進めたい」と述べた。老朽化が進む美浜原発1号機は出力34万キロワットと、100万キロワット超の最新の原発に比べると発電効率が悪い。新たに就任した八木誠社長は「1号機の運転期間を2011年秋までに決める」と表明し、廃炉とリプレースを急ぐ考えを明らかにした。

   関電の美浜原発1号機、日本原電の敦賀原発1号機とも、40年を超えるタイミングで電力会社が廃炉を表明するということは、原発の運転延長には限界があることを自ら認めているに等しい。今後、関電に続いて40年を迎える東電などの対応が注目される。

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