電力会社の悩みの種「高齢原発」 関電が「最長50年で廃炉」方針

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   2010年11月で運転開始から40年を迎える関西電力の美浜原発1号機(福井県美浜町)が、日本初の50年運転を目指すことになった。経済産業省原子力安全・保安院が同1号機の10年延長運転を認可したためだが、関電は同1号機を10年以内に廃炉とし、後継の原発を建設(建て換え=リプレース)する方針だ。

   国内では今後、東京電力などでも40年を超える高齢原発が続々と登場する。関電が示した「最長50年で廃炉」の方針は、原発の現実的な耐用年数となる可能性が高い。

40年超える原発運転は、欧米でもあまり例がない

   国内で最も古い原発は、日本原子力発電の敦賀原発1号機(福井県敦賀市)で、2010年3月に40年を迎え、こちらは後継となる敦賀原発3号機が稼働する2016年に46年目で廃炉とすることが既に決まっている。このため、50年の長期運転は美浜原発1号機が初めてになる見通しだ。原発は老朽化とともにトラブルのリスクが高まる。

   事実、04年8月には関電美浜原発3号機で2次系配管の破断事故が発生。当時の同3号機は運転開始から28年足らずで、政府が原発の老朽化(高経年化)対策を強化するきっかけになった。

   実は40年を超える原発の運転は、欧米先進国を見回してもあまり例がなく、各国とも安全基準づくりに頭を悩ませている。国際的に最も古いのは、英国にある43年目の原発で、40年超の原発は世界でも米国、英国、インドなどに数基あるだけという。

   このため、経済産業省は「原発を長期間使用している実例は諸外国を見てもあまり多くないため、経年劣化事象への対応は、より慎重かつ適切に行う」(原子力安全・保安院)との立場を崩していない。

   かつて政府は、原発について「運転開始後30年」を「高経年化」の目安としたが、実際の運転が30年に差し掛かると、「60年の使用を仮定して、定期検査や点検を充実させる」などと、原発の長期運転を容認する現実路線に転じた。これはコスト削減のため、長期運転を望む電力会社の意向を反映したもの。

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