「科学的根拠はあり、訂正しない」
トウモロコシについては、米食品医薬品局などが追跡調査をした結果、アレルギー症状の原因ではなかったと指摘した。また、除草剤の動物実験は、かなりの多量を用いたもので、内閣府食品安全委員会では、残留許容範囲の100分の1という厳格な安全基準を設けているとした。
そのうえで、「食品安全情報ネットワーク」は、漫画の紹介は、科学的な根拠がなく、遺伝子組換え作物などの危険への不安をいたずらにあおるものだと批判している。立場の違う識者も紹介したことについても、科学的決着がついていることで、両論併記というのはおかしいとした。意図的に経過を隠して引用したとし、「あるある大事典」のテレビ局不祥事と同様な問題だとすら言っている。
代表者の唐木英明東大名誉教授は、取材に応じ、2010年7月7日夕にこの問題でビッグコミックスピリッツ編集長と話し合ったことを明らかにした。
それによると、編集長側は、少数意見であっても科学的根拠があり、両論併記もしたとして、訂正はしないと話したという。
「先方は、科学ばかりでなく、遺伝子組換えはいやだという感情も大切だとの立場で、越えがたい意見の違いを理解しました。この溝を埋めるのは大変だと考えていますが、言論の自由があるので、出版差し止めまでは求めません。反対論があるのを知ってもらうのが大事ですので、目的はある程度達成したと考えています」
一方、ビッグコミックスピリッツ編集部では、取材に対し、科学的根拠がないとは考えていないとコメントした。話し合いの結果、「認識の相違があることを相互に確認し、今回、ご指摘を受けた作品については、特に訂正などはしないということで合意に達しました」という。
さらに、「不安を訴える人たちが実在することを、その逆の立場の人たちと共に『両論併記』の形で描いた」と主張。識者インタビューに基づいており、発言を捏造した「あるある大事典」と同様というのは、まったくの誤りだとした。この点は話し合いでも強く主張し、唐木名誉教授側も「行き過ぎた表現」であったことを認めたとしている。