「今までになかったことで極めて遺憾」
ところが、ロシア国防省は、オクチャブリスキー演習場で演習を行った事実を7月4日付けで発表。兵士1500人と200の軍用・特殊車両が投入され、武装グループを捜索して実弾で撃破するという内容だ。北方領土での軍事演習を、ロシア側が発表するのはきわめて異例だ。
これには、ロシア側の北方領土問題に対する強硬姿勢が表れているとの見方もある。ロシアは10年2月、国防の基本指針を示した「軍事ドクトリン」を10年ぶりに改定。ドクトリンでは、「ロシアおよび同盟諸国への領土要求」を、脅威として挙げている。
国営イタル・タス通信が7月4日に伝えたところによると、ロシア外務省筋は
「ロシアには演習の場所を選ぶ権利がある」
と岡田外相発言に反発しているし、ニコライ・マカロフ連邦軍参謀総長も、演習は特定の実在する国をターゲットにしたものではないと断ってはいるものの、その目的を「極東の国境地域で、仮想敵国から国益を守ることを保障すること」と説明。日本を念頭においていることを示唆している。
つまり、一連の日本側の主張が、ロシアに対する脅威のひとつとして受け止められているとの見方だ。
岡田外相は7月6日、記者団に対して
「今までになかったことで極めて遺憾」
と話し、ロシア側に抗議したことを明らかにしている。
一方のロシア側では、第2次大戦での「対日戦勝記念日」が近く公式記念日に格上げされる見通しで、今回の演習とあわせて、急速に態度を硬化させている。