「『女性優位』とは、必ずしも言えない」
肉体労働の機会は減ってきており、頭脳労働も一部に限られている。しかし、女性が多いサービス業や福祉分野は、派遣・パートの比率も高く、給与が比較的低いところが多い。
男性受難の時代とも言えるが、今後は、どうなっていくのか。
大阪大学の大竹文雄教授(労働経済学)は、男性も意識を変える必要性を指摘する。
「求人で、男性が女性に比べて相対的に有利な傾向は、弱くなってきています。ですから、これまでと同じ給料を目指すと失業することになります。サービス、介護、医療などで女性と同じ仕事をすれば、失業しなくても済みます。今後は、こうした仕事が当たり前になっていくでしょう」
女性の多い仕事では、お茶くみもできる女性の優先採用なども指摘されている。この点については、「今はそんなところはなくなってきていますし、そういう企業はつぶれていくでしょう」と企業側も変わる必要があるとする。
また、女性も、男性に頼る価値観を止め、支え合っていく必要が出てくるとみる。「農業や中小企業では、共働きが普通です。主婦願望とのミスマッチはあるかもしれませんが、いつまでもそうであることはないでしょう」
ただ、大竹教授は、「女性優位」とは、必ずしも言えないとする。
「男性は、たくさん働く機会があって、給料が高いのは事実です。女性より男性の方がまだ有利な状況は変わっていません。その差が少し縮まっただけで、非正規労働の比率が高いなど、まだ差があります。ですから、政府の格差是正措置をなくしていく状況だとは言えないわけです」