景気低迷で肉体労働などの求人が減り、女性より男性の失業率の方が高くなってきている。福祉分野などの成長で、「女性優位」とも報じられている。しかし、識者はむしろ、男性が「高給」にこだわり過ぎていることを指摘する。
男女の失業率格差は、最近拡大しており、2010年3月には、1.3ポイント差までになった。これは、08年9月のリーマン・ショック後から顕著になり始めた傾向だ。
男性多い業界は失速、女性多い業界は成長
総務省の労働力人口統計室では、その理由について、こう分析する。
「特に、建設業、製造業に影響が大きく、男性の就業者数が減って失業が発生しました。逆に、女性が多い福祉・医療などの成長分野は、就業者数が増加する傾向にあるわけです」
統計によると、主婦が女性の中で圧倒的に多かった時代は、男性の方が失業率は高かった。そして、男女雇用機会均等法の成立前年の84年からは、女性の社会進出が進んだが、バブル期までの好景気で、男性の失業が大きく減少。結果として、女性の失業率の方が高くなった。
ところが、バブル後の長引く不況で中高年男性のリストラが進み、98年からは男性の方が高い傾向に。その後、やや持ち直したが、リーマン・ショックで09年の男女差は、0.5ポイントにまで急上昇した。それが10年に入っても、前述のような理由で拡大し続けているわけだ。
こうした状況について、米経済紙大手のウォール・ストリート・ジャーナルの日本版は7月1日、「日本の新たな格差は『女性優位』」と報じた。その中で、前述の理由と同様な識者らの見方を紹介し、「日本の社会構造が女性労働者にとって有利な方向にシフトした可能性」があるとした。国家公務員Ⅰ種の女性採用比率を上げるなどの政府方針も、こうした結果をもたらしたとしている。