大手行の株主総会が2010年6月下旬、相次いで開かれた。国際的な自己資本強化の流れにそって大規模増資を実施した3メガ銀行の総会では、株主から不満が噴出。今年は6月提出の有価証券報告書から義務付けられた1億円以上の報酬を受けた役員の名前と金額の開示も相まって、2回目の増資を発表したみずほフィナンシャルグループ(FG)など荒れ模様の総会もあった。
自己資本強化のため、7月にも最大8000億円規模の大型増資を行う計画を発表したみずほFGの株主総会。株の希薄化が避けられないうえ、株主からは「バカにしているのか」と厳しい声が飛んだ。
大型増資後の株価低迷に不満が続出
総会では役員報酬を問う質問は出なかったが、総会後の有価証券報告書で、前田晃伸FG前会長ら3人の前会長(6月下旬に退任)と3頭取・社長の報酬が1億1000万~1億2300万円に上ることが公表された。
経営統合前の旧3行の体制を温存した「6トップ体制」は「非効率」と悪評が高かっただけに、この6人がそろって1億円以上の報酬を受けていたことは、株主の怒りに火を注ぎかねない。
三井住友フィナンシャルグループの株主総会でも、資本政策に関する質問が相次ぎ、大型増資後の株価低迷に不満が続出。北山禎介社長は「重く受け止め、企業価値向上に努める」と釈明に追われた。三菱UFJフィナンシャル・グループも、株主総会で永易克典社長ら3人が1億円以上の報酬を受けていることを公表し、株主からは将来の増資の方針についてただす質問が出た。
「外国人にもてあそばれている」
このほか、10年3月期に約1400億円の2期連続の巨額最終赤字を計上しながら、4人の外国人役員(6月下旬に退任)の報酬が1億円を超えていた新生銀行も、総会で「外国人にもてあそばれている。赤字なのに巨額の報酬を受け取るなんて、日本ではあり得ない」などと株主の批判が渦巻いた。公的資金を投入されながら経営改善できず、6月30日に金融庁から業務改善命令を受けているだけに、再建への道のりの険しさを改めて印象付ける総会になった。
増資や役員報酬開示の相乗効果で株主の視線は厳しさを増す一方。怒りを鎮める方法は収益向上しかない。
訂正
みずほフィナンシャルグループの11年3月期の配当が無配とあったのは誤りで、その部分を削除しました。同社は11年3月期には6円の配当を予定しています。訂正します。