サントリーのウイスキー「角瓶」が出荷調整する。若者にウイスキーをソーダ水で割る「ハイボール」がブームになり、生産が追いつかなくなったためだ。ハイボールがビールの「代替ポジション」にまでのし上がった、とみる専門家もいる。
「角瓶」の2010年1~6月の出荷数量は、前年同期比7割増の155万ケースだった。同社は、ウイスキーは長期間の熟成が必要で、急に増産すると将来的に安定供給に支障が出ると判断し、「角瓶」の2010年の出荷数量を300万ケース(前年比30%増)に抑えると7月1日に発表した。
小雪さん起用CMの効果?
ウイスキーは今でこそ好調だが、国税局が発表している酒類課税数量によると、1983年の38万1000キロリットルをピークに年々減り続け、2008年は5分の1以下の7万4000キロリットルまで落ち込んだ。
復活のきっかけは、サントリーが若者をターゲットにした「角瓶」のプロモーションを行ったこと。女優の小雪さんを起用し、08年9月から「角瓶」ウイスキーを炭酸水で割った「角ハイボール」を提案したところ、若者にうけた。現在放送されている小雪さんがバーのママに扮するシリーズは、09年2月から放送している。
サントリーホームページに公開した小雪さんがハイボールの作り方を教えてくれる動画は、投稿サイト「ユーチューブ」にアップされ、半年で120万回以上も再生された。
プロモーションと平行して、サントリーが力を入れたのは「角ハイボール」を飲めるレストランや居酒屋を増やすことだった。08年末は1万5000店、09年末は6万店、10年5月末は9万店と拡大した。また、昨今の家飲み需要の高まりを受けて、手軽にハイボールが飲める「サントリー角ハイボール 350ml缶」を09年10月6日に売り出し、裾野を広げた。