参院選で各陣営がさまざまな方法で候補者名の売り込みを図るなか、ネット上でちょっとした話題になっているのが「ただともの輪」だ。「ただとも」と言えば、上戸彩さんが出演するソフトバンクモバイルのCMが有名だが、今回「ただともの輪」を掲げているのは、社民党から比例区で立候補している吉田忠智(54)候補。ポスターの写真も、白い犬とツーショットという念の入れようだ。
ポスターは、下5分の1のスペースには青地に白抜きで「吉田ただとも」と候補者名が印刷され、上4分の1には「全国拡大中 ただともの輪」とのキャッチフレーズが掲げられている。
「ただともの輪」がツイッター上で広がる
1時~21時は基本料金以外は無料で通話できるソフトバンクモバイルの「ただとも」と、候補者自身の名前をかけた形だ。
さらに、中央部分にレイアウトされた写真には、背広姿の吉田氏と白い犬がツーショットで収まっている。このデザインのポスター以外にも、村山富市元首相を加えたバージョンが3000枚ほど、地元の大分県内に張り出されているという。
ソフトバンクのCMには、北海道犬の「カイくん」が出演していることは、あまりにも有名だ。また、同社10年6月から、カイくん演じる「お父さん」が選挙に出馬するという設定のCM「『街頭演説』編」「『選挙カー』編」などを放映してもいる。
このことから、6月24日の公示からほどなくして、ポスターとCMとの類似点が多いことがネット上で話題になり、ネット上では
「ソフトバンク自重しろ」
「ソフトバンクとべったりなのか」
といった批判的な声があがる一方、ツイッター上では大量にリツイート(RT、引用)され、「RTのおかげで『ただともの輪』が拡がっている」との声もでている。
総務省「問題になるとは考えていません」
吉田氏は10年4月に大分県議会議員を辞職。今回の選挙で初めて国政に挑んでいる。陣営によると、「名前を覚えてもらうためにはどうしたらいいか」を話し合う中で、このポスターを発案。白い犬は支持者から借りてきたという。
当のソフトバンクモバイルの広報室では、
「吉田さんの陣営から特にコンタクトはありませんでした」
とした上で、
「弊社が使っている『ただとも』と、今回の『ただとも』は、全く意味合いが違うもの。弊社ではコミュニケーションのあり方について、この言葉を使っているのに対して、吉田さんの場合は、お名前でいらっしゃる」
と、特に問題視しない考えだ。
今回のポスターをめぐっては、結果的に特定企業の宣伝になるのではないかとの見方も出ている。この点については、総務省の選挙課では、
「一般論として、選挙のポスターの枚数に制限はありますが、内容に制限はありません。必ず記載しなければならない『法定記載事項』はありますが、それ以外の内容については、虚偽事項や『私に投票すれば~する』といった利益誘導に関連する内容でない限り、直ちに問題になるとは考えていません」
としており、吉田候補とソフトバンクに特に利害関係がないこともあって、今回は問題ないとの見解だ。