ツイッターを通して拡散する「デマ」が問題化するなか、日本がパラグアイにPK戦で惜敗したW杯でも、「テレビ番組がPKを外した日本代表選手の家族に、ひどい内容のインタビューをした」という噂が広まっている。実際にはこのような事実はないのだが、ツイッターで拡散した内容をもとに、会社社長や国会議員までがマスコミ批判を展開。ツイッターがデマに対してぜい弱であることを改めて浮き彫りにした形だ。
実際には存在しないやり取りが流布
デマが拡がっているのは、パラグアイ戦から一夜明けた2010年6月30日朝放送のTBS系の情報番組「朝ズバッ!」をめぐってだ。この日の放送では、試合内容を詳しく振り返るのはもちろん、全国のパブリックビューイングの会場で、日本の敗戦を残念がる観客の様子も伝えた。そのうち、PKを外した駒野友一選手(28)の地元の和歌山市内の会場には、母親の友美子さん(54)の姿もあった。番組では7時39分頃、涙をぬぐいながら、
「みんなに申し訳ない(中略)ホンマによくここまで頑張ってくれたと言ってあげるだけです」
と話す友美子さんの様子を、15~20秒程度紹介した。
このコメントは、友美子さんが、複数の報道陣が当事者から話を聞く、いわゆる「囲み取材」に応じる中で出たものだ。この時の様子は、朝日新聞も夕刊第1社会面で、「PK失敗 駒野の母『よく頑張った』」という3段見出しを立て、比較的詳しく伝えている。
ところが、どういう訳かツイッター上で、以下のような実際には存在しないやり取りが流布された。番組では、みのもんたさんと友美子さんとの「掛け合い」すら行われていない。
みの「お母さん、息子さんPK外しちゃったねえw」
母「残念です」
みの「日本国民みんながっかりしてるよw」
母「大変申し訳ありませんでした」