民主党議員が、選挙活動の「秘策」としてボーカロイド「初音ミク」を使用しようとしていたことがわかった。当初、初音ミクを使って候補者のプロモーションビデオ(PV)を作ろうとしていたが、権利を有する発売元の企業から「特定の政治団体のためには使えない」と断られてしまったという。
IT事情に詳しい民主党の藤末健三参院議員が、2010年6月28日付けで東洋経済ウェブ版に寄稿した「『ネット街頭演説』解禁はできなかったが、秘策あり」という記事の中で明らかにした。
初音ミクで「若い世代」にPRしたかった
藤末議員は、他党の若手議員らと一緒に、ネット選挙解禁に向け、超党派で動いていた。7月11日の参院選では実現には至らなかったが、いくつかの「秘策」を考えていたという。
その中の1つにボーカロイド「初音ミク」を使った候補者のPVというものがあった。「初音ミク」は合成音声システム「VOCALOID2」を使用した音楽ソフトで、メロディと歌詞を打ち込んで、バーチャルアイドル「初音ミク」にオリジナルの歌を歌わせることができる。
これを利用して、候補者のPVを作り、ネット上で流そうとしていた。「話題のツールを用いれば、若い世代にも政治を身近に感じてもらえると考えていた」と書いている。
しかし、初音ミクの権利を持っているクリプトン・フューチャー・メディアに問い合わせたところ、「名称やイラストなど、そのキャラクター性を特定の政治団体のためには使えない」という返答が来た。クリプトン社は二次創作物に対して寛容な姿勢をとっているが、政治がらみの使用はダメだったようだ。
民主党議員が初音ミク使用を断られたことは29日ごろからネット上で話題になり、2ちゃんねるやツイッターには、「ミクの政治利用とかキモすぎ」「天使のミクが薄汚れた政界にでるわけがない」といった書き込みが寄せられた。