消費税増税論議に民主党内から公然と反対論が浮上している。議論の口火を切った菅直人首相自身の発言も揺れている。民主党のビラから消費税の文言が「消えた」との指摘も出て、野党からは「迷走だ」と批判の声が相次いでいる。
民主党の小沢一郎・前幹事長は、消費税10%への引き上げ論について苦言を呈している。2010年6月28日には「(衆院)選挙で4年間は上げないと言った」と選挙応援で訪れた愛媛県今治市内の会合で述べた。「約束したことを守るのが政治だ」とも話し、強い苛立ちをみせた。
谷垣総裁「くるくる変わってしまう」
参院選の東京選挙区候補でもある蓮舫行政刷新相も連日、「今回の選挙で消費税を上げることを問おうなんて、ひと言も言っていない」「消費税が選挙で争点になっているかのように伝わっているが、誤解だ」と、街頭演説で訴えており、増税論議と参院選を切り離すのに必死だ。
菅首相は、超党派での消費税増税議論について「『呼びかける』までが公約」と慎重な言い回しに転じている。6月29日付の読売新聞朝刊は、「消費税 揺れる首相発言」と報じ、28日付朝刊では朝日「消費税発言 首相が修正」、産経「『消費税10%公約』一転」と、各紙が「揺れ」を指摘している。
野党も黙ってはいない。民主党から「10%」案を「参考」にされた自民党の谷垣禎一総裁は6月28日、「公約と思って差し支えないと(言っていたのに)、くるくる変わってしまう」「迷走に迷走を重ねる首相の言葉が信じられるか」と鳥取県米子市の街頭演説で批判した。
みんなの党の渡辺喜美代表も6月28日、民主党の枝野幸男幹事長の連携示唆発言について、「増税論が不評で焦り、みんなの党の票の引きはがし作戦に来たんだろうね」「ばかも休み休み言え」と吠えた。共産党の市田忠義書記局長は同日、「(首相の消費税発言は)ぶれた。皆さんの怒りが首相に届き、国民世論が追い込んだ結果ではないか」と分析を披露した。