乳幼児用紙おむつの「性能」がよくなっている。「もれない」「むれない」「かぶれない」のは当たり前。おむつ替えに便利で、機能性を重視したパンツタイプもいまや一般に浸透した。
しかし、これらはどれも「母親目線」からアプローチして、開発してきた商品だ。最近はこれを、さらに一歩進めた「赤ちゃん目線」に注目。メーカーは、デリケートな赤ちゃんの肌にストレスなく着けられる紙おむつの開発、つまり「素材」が勝負の時代になってきた。
薄型化が進み、尿の吸収力も高まる
乳幼児用紙おむつ市場が伸び悩んでいる。日本衛生材料工業連合会(日衛連)の調べによると、乳幼児用紙おむつの生産数量は、2008年はテープタイプとパンツタイプの合計で前年比1.3%増の79億4159万枚だったが、09年は77億9397万枚となり、同1.86%減少した。
もともと、子どもが生まれてから3年前後という限られた需要のなかで売れ行きを争う、競争の厳しい市場だが、最近の少子化の影響で全体のパイが縮小傾向にあることがそれに拍車をかけている。
ただ、この間に乳幼児用紙おむつは大きく「変革」した。「もれない」ことはもちろん、「むれない」「動いてもズレない」ことや、「おむつ替えが簡単」なパンツタイプの登場によって、「はかせるおむつ」として主流になった。
赤ちゃんの成長段階での動きなどを研究し、ハイハイの段階から「おむつ離れ」のトレーニング用と品揃えも増えた。
さらには紙おむつの薄型化が進み、持ち運びに便利になる一方で、尿の吸収力を高めた。形状は布のパンツとほとんど変わらないのに、吸収力を高めるために紙おむつが厚手になっては乳幼児にとってはカッコ悪い。メーカー各社が、大きめサイズ(体重で12~25キログラム向け)で、尿の吸収量を向上させたおむつの開発にしのぎを削ったのは1995年ごろだ。