W杯日本代表の予想外の活躍に、スポーツ関連業界が思わぬ「特需」に沸いている。特に、デンマーク戦でゴールを決めた本田圭佑選手(24)が使っているスパイク「ウェーブ・イグニタス・エムディー」は、同選手の活躍で品薄状態。急きょ、増産を決めている。それ以外の「W杯関連銘柄」も、総じて堅調だ。
「イグニタス」は、大手スポーツ用品メーカーのミズノ(大阪市)2009年12月に発売。選手が蹴る「無回転キック」を分析し、ボールが当たる部分によってボールの回転がかかりにくい素材と、かかりやすい素材とを使い分けたのが特徴だ。当初の販売目標は「半年で5万足、1年で7万足」だったが、5月10日に5万足、6月10日には7万足を売り上げている。
ボール以外のサッカー用品も売れ行き好調
W杯開幕段階で、既に販売目標を軽々と達成している形で、本田選手の活躍を受けて、すでに品薄状態だ。同社では、年間の販売目標を10万足に引き上げ、インドネシア国内の工場でも、増産体制を整えている。
好調なのは「イグニタス」にとどまらない様子だ。同社の直営店「エスポート」(東京都千代田区)のサッカー用品の10年6月売り上げは、前年同月比で82%増加しており、大阪店(大阪市中央区)でも、48%伸びている。
株価も上り調子で、W杯が開幕した6月11日には終値で382円だったものが、デンマークに快勝した6月25日には404円にまで値上がりしている。
同社の広報宣伝部は、
「株価については一概には言えませんが、事実として勝ち上がっているのは、業界として嬉しいこと」
と、やや控えめだ。
本田選手のCM契約増えそう
また、本田選手のスポーツ以外のマネジメントを担当しているエイベックスも好調だ。本田選手の所属事務所「balance」は、本田選手の芸能活動について「エイベックス・エンタテインメント」と業務提携をしている。現在、本田選手が結んでいるCM契約は清涼飲料「アクエリアス」の1本だが、大会後のCM契約本数が増えるのは確実だ。
6月27日に開かれた株主総会には、約1万1000人の株主が出席。株主から「活躍おめでとうございます」と声をかけられると、松浦勝人社長は、「ありがとうございます」と返答。
「可能性のあるスポーツ選手の芸能活動を積極的にサポートしていきたい」
と述べ、早速「第2のホンダ」を視野に入れている様子だった。
6月29日のパラグアイ戦で善戦すれば、さらに「特需」が続く可能性もありそうだ。