「争点になっているかのように伝わっているが、誤解だ」
しかし、せっかくV字回復した内閣支持率は、「消費税10%」発言以降、下降路線に入る。一時は「参院選楽勝ムード」も出たが風向きが変わってきた。6月17日の首相発言の後、19・20日の両日に各社が実施した世論調査で、内閣支持率は朝日新聞で9ポイント下落(1週間前調査と比較)の50%、読売新聞で4ポイント下落(同)の55%と落ち込みを見せた。さらに読売新聞が25~27日に実施した調査では、内閣支持率は50%と、前回より5ポイント下がった。また、朝日新聞は26日付朝刊で、「民主 過半数微妙」の見出しで、世論調査を踏まえた参院選序盤情勢の分析記事を掲載した。
こうした流れを受け、周囲は「火消し」に追われている。民主党の東京選挙区候補でもある蓮舫・行政刷新担当相は6月27日、徳島県の街頭演説で「菅さんの言った消費税(引き上げ)が、選挙で争点になっているかのように伝わっているが、誤解だ」と弁明した。
菅首相も、「誤解」を生んだのはマスコミのせいだ、といわんばかりの「言い訳」を始めている。産経新聞(6月28日朝刊)によると、「菅首相はカナダ・トロントでの同行記者団との懇談で報道に八つ当たりした」。こう言ったのだそうだ。「私は(各党に消費税の議論を)呼びかけると申し上げたが、皆さんが書いている見出しだけ読むと書いていない。もうちょっと正確に言ってほしい」
菅氏は首相就任時の会見で、幕末に奇兵隊をつくった長州の高杉晋作について触れ、「逃げる時も速いし、攻めるときも速い」と評価し、自身の内閣を「奇兵隊内閣」と名付けた。菅内閣は、消費税引き上げ問題からは「速い」スピードで逃げてしまうのだろうか。