任天堂が3D(三次元)映像の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS(スリーディーエス)」を米ロサンゼルスのゲーム見本市「E3」で初公開し、話題を呼んでいる。任天堂は世界で約1億2890万台を売り上げた携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」シリーズの後継機として、3DSを開発中と公表していたが、詳細が明らかになったのは初めて。
米国現地時間2010年6月15日午前(日本時間16日未明)、世界最大のゲーム見本市「E3」で岩田聡社長らが行ったプレゼンテーションは注目を集め、任天堂のホームページで同時中継された。
メガネなしで裸眼のまま楽しめる
今回、明らかになった3DSの特徴は、(1)液晶画面は2面で、3.5型の上画面が3D対応。3D画像は専用のメガネなどが必要でなく、裸眼のまま楽しめる(2)3D画像は「3Dボリューム」で立体の度合いを調整できる(3)液晶画面にはタッチパネルがついて操作が可能(4)3Dの液晶画面では3D映画を楽しむこともできる(5)本体には2つのカメラがついていて、3Dの写真を撮影し、楽しむことができる――ことなどだ。
2010年は「3D元年」とされ、パナソニックなど大手電機メーカーが3Dの薄型テレビを発売したが、いずれも専用のメガネをかけなければならない。この点、3DSは薄型テレビに比べれば画面のサイズは小さいものの、裸眼のまま楽しめるメリットは大きい。3Dボリュームをつけたのは、映画のみならず、ゲームが立体映像になると、あまりにもリアリティーが増すため、ユーザーの衝撃を抑える狙いがあるようだ。それほど3DSの迫力はすごいということだ。
岩田社長は「ハリウッド映画などを3Dで見ることができる携帯端末は、私が知る限り初めてだ」などと自信を示し、3DSが単なるゲーム機ではないことを強調した。かつて任天堂は95年に3D対応の据え置き型ゲーム機「バーチャルボーイ」を発売したが、ユーザーの評価を得られずに撤退した経緯がある。
ゲームソフト大手も3D対応ソフト供給
岩田社長は「その後も常に3Dが頭の中にあった」「3Dゲーム機を現実のものにする方法を模索してきた」などと述べ、満を持して3DSを開発したことを明らかにした。だだし、3DSの価格や発売日については語らず、ファンをやきもきさせた。いずれにせよ、発売は2010年度中という。
今回の「E3」では、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)も3D対応を進める考えを明らかにした。据え置き型ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」を3D対応のテレビに接続することで、人気の「グランツーリスモ」など新たに投入する3D対応ソフトを楽しめるという。
専用ゲーム機は、ゲームソフトをダウンロードして楽しむ米アップルの「iPhone(アイフォーン)」などに押され、市場が浸食されつつある。「iPad(アイパッド)」の登場も脅威となる。このため3DSは3D対応だけでなく、インターネット経由でデータを更新するなど通信機能も強化した。
カプコンやコナミデジタルエンタテインメントなど大手ゲームソフトメーカーも、いち早く3D対応ソフトの供給を決めた。任天堂が得意とする専用ゲーム機がスマートフォンなどの新興勢力にどこまで対抗できるか注目される。