民主は天下り「解禁」した
6月22日に内閣府から公表された経済試算では、大雑把に言えば、財政再建について名目2%なら消費税15%、名目3%なら消費税10%が必要になる。ということは、名目4%なら消費税5%ということで、やはり増税はいらない。自民党は、名目4%とインフレ目標があるので評価できるが、名目4%成長なら増税はいらないはずだ。しかし、消費税10%への引き上げを主張しており、ややチクハグな印象だ。
(3)郵政民営化、(4)道州制では、民主党の大きな政府指向がでている。民主党は、郵政民営化逆行の再国有化であり、さらに地域主権というが、実は一括交付金というカネづるは手放さないので、中央集権的な大きな政府指向だ。
いずれにしても、民主党と自民党で政策が似てきたのではなく、それぞれ家元が霞ヶ関官僚で同じになったのだ。この意味で、民主も自民も脱官僚になりきれないことがポイントだ。
6月22日に閣議決定された「退職管理基本方針」は民主党の脱・「脱官僚」をよく表している。「天下り法人への出向」という名目にすれば天下りとは扱わず、そのポストも公募対象にしない、と決めた。7月の役所の定例異動で、「天下り法人への出向」という名の天下りが大量になされるはずだ。この時期に閣議を行ったのは、7月人事を優先する官僚側に菅政権が屈して、以前であれば「裏下り(省庁OBらによる事実上の天下りあっせん慣行)」とかいって批判していたものを政府公認で「天下り」を解禁したわけだ。これが、民主党の現状だ。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。