投資マネー流入で史上最高値 金価格さらに上昇気配

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   金相場が1トロイオンス1200ドル超の高値水準が続いている。ギリシャの財政危機をきっかけに欧州全体に広がった債務問題が長期化し、また米経済の回復が鈍化する懸念から、安全資産である金の魅力が高まった。

   米ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は、2010年6月21日に1オンス1264.8ドルを付けて史上最高値を更新。22日も一時1233ドルに反落したが、結局小幅高で終わった。

   金現物を必要とする金ETF(上場投資信託)が欧州で機関投資家を中心に人気で、こうした投資マネーが金価格を引き上げているとの見方もあって、さらに上昇する気配がある。

欧州の機関投資家に金ETF大人気

   イー・ティー・エフセキュリティーズは世界中で金ETFを販売している。同社は2010年6月11日時点で、約113億ドルの金ETF資産残高をもつ。日本の広報担当者は「もともとロンドンが拠点ということもあるが、そのうちの大半を欧州の資金が占める」と話している。

   2週間前(6月7日の週)は1週間で6600万ドルの資金流入があって膨張したが、前週(6月14日の週)は、1オンス1250ドルを付けた時点で「週末にかけて売りが入った結果、資金の出入りはプラス・マイナスゼロでしたが、金価格が上昇した分、資産残高で約2億ドル増えました」。6月18日時点の資産残高は約115億ドルだった。

   投資の中心は機関投資家で、金を保有する手段としてETFを買っている。現物を保有するより、安く効率的に投資できることもある。

日本でも金ETFの人気は急上昇

   日本でも金ETFの人気は急上昇だ。東京証券取引所に上場しているSPDRゴールド・シェアの5月の売買代金は、115億527万円で、前年同月と比べて4.6倍にも膨らんだ。また、ETFセキュリティーズの金ETFも09年8月に東証に上場していて、5月の売買代金は22億3520万円だった。

   7月には三菱UFJ信託銀行が金ETFを東証に上場する。07年の改正信託法と東証の上場規定の改定で実現。三菱UFJ信託が金現物を直接管理すると同時に、証券化して東証に上場する、信託初の試みだ。

   金の高値は、長期化する欧州の財政危機の影響によって、安定資産として金の価値が高まったせいだ。金地金やゴールドジュエリーなどを取り扱う田中貴金属工業は、「金を取り巻くファンダメンタルズは強い」と話す。それでも、「1オンス1200ドルを超すのは特殊なケース」(貴金属部)といい、行き過ぎとみている。

   中国人民銀行が6月19日に人民元相場の弾力性を高めることを表明し、それまで売られていた株式などのリスク商品が上昇。反対に金相場は下がりはじめた。

   ただ、それも「一時的」との見方が支配的。田中貴金属は「金は工業用や宝飾用にも使われているし、現物の価値がゼロになることはない。トレンドとしては底堅い」という。

   前出のETFセキュリティーズは、「投資マネーの行き場が安全志向なのは確か。欧州の機関投資家は日本国債さえも敬遠しているというから、かなりの警戒感だ。これでは金に資金が集まるのは当然のこと」と話している。

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