インターネットの選挙利用解禁は法改正成立を目前にして結局見送り――そんな情勢の中、参院選が公示を迎える。日頃、ミニブログのツイッター(Twitter)で情報発信しているツイッター議員や候補予定者たちは、選挙戦にどう臨もうとしているのか。中には法のぎりぎりのところで新たな取り組みに挑戦する陣営もある。
参院選公示以降も「音声ツイッターを更新します」。ツイッター議員として知られる藤末健三・参院議員(民主党比例区公認で立候補予定)は、公示前日の2010年6月23日朝、自身のブログでこう宣言した。ツイッターの更新は違法ではないのか。ポイントは「音声」だと藤末議員の事務所は解説する。
「音声なら違法ではない」という見解
現行の公職選挙法では、ブログやツイッターの文字情報などの更新は、法が禁じる「(認められたもの以外の)文書図画の頒布」にあたると解釈される「違法行為」だ。そもそも、国会提出寸前までこぎつけていたネット解禁を盛り込んだ公選法改正案でも、運用面で、ブログの更新は可能だが、ツイッターの更新は「自粛する」ことになっていた。
しかし、藤末議員事務所によると、総務省や弁護士にも確認した上で、更新データが「音声」ならば、法が禁じる「文書図画」ではない、との見解に落ち着いたのだという。
藤末議員の「音声ツイッターの更新」は、6月22日夜から試験的に始めている。藤末議員のツイッターをみると、通常の「つぶやき」に混じり、ところどころネット上の「住所」を示す「URL」だけを記した部分がある。URLは、アルファベットと記号の羅列だ。URLをクリックすると、ツイッター用音声投稿サイトへ画面が移り、「今から帰ります」などの藤末議員の声が再生される。「題」のような文字は記載されていない。
同事務所では、ツイッター議員の中でも音声ツイッターを導入したのは「初めて」としている。
では、文字でのツイッター更新はどうするのか。同事務所によると、公示以降は更新を控え、いつ再開するかは未定だという。
選挙期間中のツイッター更新について、ほかのツイッター議員・立候補予定者にも聞いてみた。片山さつき・前衆院議員(自民党比例区公認で今参院選立候補予定)は、6月22日夕のツイッターで、公示以降はブログやツイッターの「更新ができなくなる」とつぶやいた。「ツイッター更新を再開するタイミングはいつか」とのJ-CASTニュースの質問に対しては、「まだ決めておりません」と事務所を通じて回答した。
「使う言葉によっては違法」と総務省注意促す
また、タリーズコーヒージャパン創業者の松田公太さん(みんなの党公認で東京選挙区立候補予定)の事務所は、選挙期間中のツイッターへの書き込みは、選挙に関係ないことも含め一切行わない方針で、「つぶやき」再開は、東京選挙区の結果が確定した以降の見込みだ、としている。
「(法定以外の)文書図画の頒布」は、候補者だけでなく一般の人も禁じられている。今回の参院選に立候補する訳ではない国会議員はどうするのか。自民党の山本一太・参院議員(今回は非改選)は、6月23日午前のツイッターで「明日(公示日:編集部注)からもブログとtwitterは続ける。つぶやく内容には、気をつけないといけないが」とつぶやいている。
公示以降は、ツイッター議員らは、選挙に全く関係ないことなら「つぶやき」をしても良いのか。総務省選挙課によると、「相談はぽつぽつ来てます」。選挙に全く関係ない内容を書いた場合は、「つぶやき即違法」とは言えない。しかし、「選挙に関係ない」の線引きがあいまいなこともあり、「脱法的にツイッター更新を利用している」と受け止められる恐れがあるため、「水際防止の観点からも更新はしないように」と問い合わせには対応している。
では、音声更新は問題ないのか。「音声は、法が禁じる文書図画ではありません」。しかし、その音声更新データをどう見せるか、音声更新したことを「読者」にアピールする際に使う言葉によっては、「違法の更新」とみなされる場合も出てくる、と注意を促している。