輸出頼みの景気という構造は変わらず
さらに、2010年度の国内総生産(GDP)成長率見通しも、09年末に公表した実質1.4%から2.6%に引き上げ、参院選に向けて回復感をアピールしたいとの思惑がのぞく。民間金融機関やシンクタンクの予想も、JPモルガン証券の3.1%、ニッセイ基礎研究所の3%を筆頭に2%台後半から3%をうかがうとの見方が強まっており、足元の景気が堅調なのは間違いない。
だが、今回の景気変動は「落ちるのも、上がるのも、輸出が一番影響した」(吉川座長)というように、中国をはじめとした新興国がいち早く立ち直ったおかげ。加えて、エコポイントやエコカー補助金などの政策の下支えで個人消費が持ち直したことも回復に貢献した。
このため、「設備投資や雇用関係の指標の反転はきわめて弱い」(内閣府)。頼みの海外も、最大の支えである中国で、5月の消費者物価が政府の年間目標である3%を上回り、インフレ懸念が強まっている。中国政府が金融引き締めに転じて成長率が鈍化すれば、せっかく息を吹き返した日本経済も大きな影響を免れない。株価が1万円前後まで回復したくらいでは先行きを楽観していられないようだ。