ご当地バーガー界に新興勢力の波が押し寄せている。沖縄では石垣バーガーが人気を集め、鳥取でも「鳥取バーガー」が勃興し、全国の「ご当地」に呼びかけ、「バーガーフェスタ」を同県で開こうと準備を進めている。
沖縄県の石垣港離島ターミナルで、連日完売の売れ行きを見せているご当地バーガーがある。石垣牛100%で、普通の約5倍、150グラムの特大ハンバーグが売りの石垣バーガーだ。石垣リゾート・グランヴィリオホテル内の石垣牛焼き肉店「琉華」が販売している。
鳥取県でご当地バーガー祭り
昨09年秋から実験的に販売を始め、10年になって同ホテル内店舗でメニュー化した。5月の連休からターミナルでも販売を始めたところ、観光客だけでなく市民にも好評で、現在は金~日曜の1日50食限定が連日売れ切れる状況だ。同ホテルによると、夏休みシーズン前後は毎日販売することも計画している。
「石垣バーガーも有力新興勢力ですが、鳥取バーガーも負けていられません」
スキーで有名な鳥取県大山の近くにある伯耆町など3町の会場で10年10月に開催予定の「とっとりバーガーフェスタ」の実行委員会で代表を務める柄木孝志さん(40)は、こう闘志を燃やす。
鳥取和牛バーガー、大山鳥バーガー、ベニズワイガニバーガー、マグロバーガー……鳥取県内では、こんな鳥取県内の食材を使った新ご当地バーガーが続々誕生している。「食材の宝庫」を自認する割には知名度が低い――そんな鳥取県の状況を払拭しようと、フードライターとして全国のご当地バーガーを食べ歩いたこともある柄木さんが、行政などと協力し、「とっとりバーガー」を新たに生み出し、その認知度を広める活動を始めた。
昨09年秋には、「プレ大会」として伯耆町でフェスタを開いた。各種「とっとりバーガー」は、この祭りを機に生まれたものが多く、まさに新興勢力だ。店舗によって、様々なバーガーがあり、共通点は「鳥取の食材を使っていること」だ。09年は「ご当地バーガーといえばコレ」と言われるほど知名度の高い「佐世保バーガー」(長崎県)など県外から3件、県内からは17件が参加し、2日間で2万人の人出があった。
ラーメンバーガーや米バーガーも
「第1回」となる今回の祭りでは、県外から20~25件、県内から30~35件の参加を見込み、2日間で6万人を集めたい、と鼻息が荒い。
食材による地域興しはよく聞く話だが、なぜご当地バーガーなのか。柄木さんは、フードライターの経験から、ご当地バーガー・ブームは、他の一過性の食ブームとは異なり、「日本人の食に溶け込んでいることが分かった」という。牛肉に代表される食材をはさむだけ、というシンプルな構造が、地域ごとの食材を生かしやすいことにも目をつけた。
また、以前は、間にはさまれる具材やソースの工夫を競い合っていたが、今では具材をはさむ素材がパンだけでなく、ラーメンを焼き固めたものや米などと広がりを見せている。「作る方も食べる方も楽しい。これがご当地バーガーの魅力だと思います」と柄木さんは話す。さらに、ご当地バーガーをきっかけに、それぞれの地域の自然や観光地の魅力も伝わることを願っている。
10月の祭りには、佐世保バーガーのほかにも、倉敷バーガー(岡山県、ビーフ)や鶴橋バーガー(大阪府、キムチ)、姫路(やっさ)バーガー(兵庫県、アナゴ)などの出店が内定している。
「石垣バーガーにも参加を呼びかけたいのですが、担当者が忙しそうでなかなか連絡がつきません」(柄木さん)