白米ご飯をたくさん食べると糖尿病になりやすくなる――。こんなビクッとするような研究内容を、米ハーバード大の研究チームが発表した。
「玄米と白米 どっちがベター?」
健康情報の米ニュースサイト「WebMD」は2010年6月14日、こんな見出しで研究内容を報じた。
玄米は食べるほど「糖尿病になりにくい」
アジアより米の流通が少ないアメリカで話題になるのは、同国で最近、米の消費量が急増している事情がある。そんな中で、ハーバード大公衆衛生大学院のチームが、22年間にわたり計20万人に追跡調査した結果を米内科学紀要で発表し、玄米の方がベターという結果が出たというのだ。
それによると、白米を週5回以上食べる人は、月1回以下の人より、糖尿病にかかるリスクが17%高かった。対して、玄米を週2回以上食べる人は、月1回以下の人より、リスクが11%低かった。すなわち、白米ご飯は食べるほど糖尿病になりやすくなり、玄米は逆に、食べるほど糖尿病になりにくいということだ。
同大の研究では、白米について、その3分の1を玄米に置き換えると、リスクが16%下がるとした。さらに、白米を大麦や小麦といった全粒穀物にすべて置き換えると36%も下がったという。
玄米がベターな理由については、血糖値の上がりやすさを指す指数のグリセミック・インデックス(GI)が白米より低いことを挙げている。白米は、精白過程で、もみがら、ぬかを取り除いており、そこには、糖分の消化・吸収を遅らせるとされる食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれている。
とすると、白米ご飯は、あまり食べるべきではないのか。むしろ、玄米に切り替えることも考えた方がいいのか。
白米も調理法や食べ方で、低リスクに
フードマネジメントに詳しい静岡県立大大学院の市川陽子准教授は、玄米の低GIについては認めるものの、研究内容を過信すべきではないとの立場だ。
「高血糖を予防するには、GIが低い方が確かに望ましいです。しかし、アメリカ人に当てはまるとしても、日本人もそうだとは必ずしも言えません。遺伝的な体質や食習慣などが違うからです」
玄米は、低GIによる即効性から白米に混ぜるのはいいとしながらも、調理が難しかったり、胃の中で消化しにくかったりするマイナス点も指摘する。
そして、白米でも、調理法や食べ方によって低GIにすることができるというのだ。すし飯にしたり、乳製品と一緒に食べたりすれば、GIが低くなるという研究結果があるからだ。
「メカニズムはよく分かっていませんが、乳製品には、食べ物を分解する酵素を疎外する働きがあるとされています。つまり、糖分に分解するのが遅れるので、それを吸収しにくくなるわけです」
酢の物、ヨーグルトなどのほか、みそ汁、納豆などの食べ物も低GIだとされる。また、食物繊維が豊富な野菜などを食べても、同じことになるという。
「日本人は白米を主食にしてきましたので、そのリスクが高いとなると、混乱が起きてしまいます。白米ご飯を食べながら、おかずでGIを下げるなど、工夫次第で、健康的な食事にできるはずです。しかし、日本では、低GIの調理法や食べ方を続けると、糖尿病のリスクが低くなるという研究がまだありません。これからは、そんなデータを取る研究をしていかないといけないでしょうね」