男性の育児休暇取得率は1.23%と女性に比べて低い。ところが最近、東京都文京区の区長が2週間の育休を取ったり、タレントのつるの剛士が第4子の育児のため、2か月間休業したりして話題になっている。東証1部上場のソフトウェア開発販売会社社長も、近々育休を取る予定だ。
男性の育児休業取得を促進することなどを柱とした改正育児・介護休業法が2010年6月月30日に施行されることを受け、厚生労働省は男性の子育てを推進する「イクメンプロジェクト」を6月17日にスタートさせた。イケメンならぬ「イク(育)メン」は、仕事をしながら育児を楽しむ男性を指す。
3割の男性「育児休業を取得したい」
「イクメンプロジェクト」専用ホームページが開設された。「9月に父親になります。その後の2か月間、育休取得します!」(30歳代男性)、「よき仕事人である前に、よき父親でありたい」(40歳代男性)といった「イクメン宣言」が投稿されている。
プロジェクトを立ち上げた背景には、女性の育休取得率が約9割に達する一方、男性の取得率は依然として低い現状がある。厚労省によると、約3割の男性が「育児休業を取得したい」と希望しているが、実際の取得率は1.23%にとどまっている。
厚労省は男性の育休取得率を2017年度に10%に、2020年度には13%に上げることを目標に掲げている。また、育休を取得した女性の約7割が第1子出産を機に離職している。男性が育休を取ることで女性の育児負担を減らし、女性の出産後の就業率を高める狙いもある。
最近は著名な男性が育休を取り、話題になっている。東京都文京区の成沢広修区長(44)は、第1子が誕生して2010年4月3日から15日まで育児休暇を取得したほか、タレントのつるの剛士さんが2010年元旦から2か月間、第4子の育児を理由に休業した。
1年以上、育休を取る男性社員もいる
東証1部上場のソフトウェア開発販売会社、サイボウズ・青野慶久社長(38)は、2010年8月下旬に2週間の育児休暇を取得する予定だ。育児の合間を見て、同社のグループウェアソフト(会社内で情報共有するためのソフト)を使って、自宅のパソコンやスマートフォンから社員のスケジュールを把握したり、ソフトの伝言板機能を使い社員にメッセージを書き込んだりして業務を行うこともできる。
社長が率先して育休を取り、男性社員も育児休暇を取りやすくする狙いもある。同社は06年から、最長6年の育児休暇制度を設けている。1年数か月の育休を取っている男性や、3年間取っている女性もいる。一般社員の場合は自宅で業務をすることはなく、給料は出ない。復帰後は「同じポジションに戻っている」と社長室担当者はいう。
「出産時立ち会い休暇」や、子どもが病気になった時のための「看護休暇」についても、子どもがいる社員は男女ともほぼ全員が取っているという。育休関連の休日が充実していることで、今は子どもがいなくても、「産んでも、産まれても安心」と思っている社員は多い、と担当者は話している。