「もっと安全に取り組めるはずだ」
柔道連盟や文部科学省などは、柔道の安全指導のマニュアルはすでに作っている。安全講習会も頻繁に行われている。小林会長は、「日本はなぜゼロにできないのか」と訴える。また、日本に欠けているのは、事故原因の分析だと指摘する。学校で起きた事故は、学校や教育委員会が情報を隠そうとする傾向が強いと感じており、情報開示の徹底を図る必要があると訴えている。
それでも小林会長は、「柔道は素晴らしい競技」と言い切る。「危険だから止めるべきだ」ではなく、「もっと安全に柔道に取り組めるはずだ」との思いだという。
シンポに参加したある柔道関係者は、被害者家族の話を聞き、「柔道への個人的な恨みはあるだろうに、そこを抑えて柔道界を巻き込んで再発防止に取り組もうという姿勢に感動した」と話した。
日本柔道連盟に取材すると、13日のシンポへは担当者2人が出席したという。「被害者のご家族の気持ちへの理解を深めながら、安全対策をさらに徹底していきたい」としている。