「プリン投げ」で暴行罪 どこからが犯罪なのか

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   コンビニの店長に怒ってプリンを投げつけた男が、愛媛県警に暴行の疑いで逮捕された。飲み屋で食べ物を投げ合う光景などを見た人はいるかもしれないが、こうした場合も、犯罪になってしまうのだろうか。

   「すみません」。この一言がなかったために、店長を怒らせたのだろうか。

落としたプリンに弁償を求められ

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   朝日新聞の2010年6月14日付サイト記事によると、逮捕された松山市内の男(36)は前日正午過ぎ、同市内のコンビニに立ち寄った。男は店内で、床に過ってプリンを落とし、そのまま棚に戻そうとした。

   すると、店長(51)がこう言ったというのだ。

「買うか弁償するかして」

   男は、この言葉に腹を立て、至近距離からいきなり店長にプリンを投げつけた。店長にけがはなかったが、服はプリンまみれになったという。

   プリンを投げつけるのは、確かにやり過ぎだろう。しかし、どのような状況だったのかが分かりにくいこともあって、ネット上では、記事を巡って、様々な反応が出ている。

   2ちゃんねるでは、男に対して、「落としましたってちゃんと言えば丸く収まったと思うけど」と突き放す声は多い。その一方で、「見た目そんなに影響なさそうだったら何も言わずに棚に戻すだろうな俺も」などと、事情があるのではないかとみる向きもある。

   こんな向きもあってか、店長に対し、弁償などを要求するのは行き過ぎでは、との指摘もみられる。また、警察に対しても、「こんなことでいちいち逮捕して点数稼ぎする警察のほうがおかしい」との批判が一部であった。

   実際のところは、どうなのか。

   男がプリンを落としたときの状況について、松山東署の説明はこうだ。

相手にすごんでいたり、逃げたりした場合

   コンビニ店内で、男は、レジに行く途中で手に持っていたプリンを落とした。プリンは、ふたが破れて、中身も少し出ていた。男は、このプリンを棚に戻し、新しいプリンを取って再びレジに向かった。店側に謝ろうともせず、知らんぷりしていたという。

   ところが、このことに気づいた店長が、落としたプリンを持ってレジに行き、「こちらはどうされますか」と聞き、弁償などを求めた。しかし、男はすごんだ言葉を口走りながら、落とした方のプリンを取っていきなり店長の腹部に投げつけた。新しいプリンなどは買うと主張したが、店長が「結構ですから」と言うと、プリンなどを置いて出て行った。

   この後、ほかの客とみられる男性から110番通報があり、駆けつけた松山東署員がプリンを投げた男を見つけて事情を聞くと、容疑を認めたという。

   同署の副署長は、暴行罪になった理由について、「怒ったり、悪ふざけだったり、逆ギレしたりしている状況があるからです」と説明。逮捕したのは、「現場から逃げており、逃亡の恐れがあったから」としている。男の実名で報道発表したが、マスコミによって実名・匿名が分かれた。

   とすると、飲み屋で怒って食べ物を友だちに投げた場合なども、暴行罪に問われるのか。また、スポーツ選手の同意もなく、お祝いでパイを投げつけたりするのは悪ふざけになるのか。

   板倉宏日大名誉教授(刑法)は、こう言う。

「プリンを投げつける行為そのものは、確かに暴行罪になります。しかし、投げつけただけでは、逮捕までするのはおかしいでしょう。被害者がいいと言っている場合もあるからです。逮捕がありえるのは、相手にすごんでいたり、逃げたりした場合などがあるときです。だから、ケースバイケースと言えますね」
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