不規則に飛ぶW杯公式球 「GK泣かせ」早速証明される

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   サッカーワールドカップ南アフリカ大会の公式球ががぜん注目を浴びている。アディダス社が開発・製造しているが、弾道が不規則な「ぶれ球」が発生しやすく、各国代表から批判が噴出している。米国戦でのイングランドGKの信じられないミスもこのせいでは、という見方も出ている。

   南アフリカ・ルステンブルグで現地時間2010年6月12日行われた、イングランド対米国戦で、中々ない事態が起きた。

「突然、弾道が変わる」「不愉快だ」

ワールドカップ公式球「ジャブラニ」
ワールドカップ公式球「ジャブラニ」

   イングランドが試合開始4分で1点先制した。しかし、前半40分、米国がイングランドゴールに低いシュートを放つ。GKグリーンは、一度受け止めたものの、ボールは手元を離れ、そのままコロコロとゴールに入ってしまった。普通ならあり得ないミスだ。結局試合は1対1の引き分けだった。

   ここで議論を呼んだのが大会公式球「ジャブラニ」だ。試合後、グリーン本人は「言い訳は出来ない。自分のせいだ」としたが、イングランド主将ジェラードがグリーンのミスには「ボールの影響があった」とする見解を述べている。

   「ジャブラニ」については、大会前から「軌道がぶれる」という指摘が出ており、各国代表から批判が噴出していた。FWからは、「蹴られるのが嫌みたいで突然、弾道が変わる」(ブラジル代表FWファビアーノ)。シュートを受け止めるGKからは、

「軌道の予測不能性で大会自体が台無しになりかねない」(イタリア代表GKブッフォン)
「GKにとって、ことは難しくなる一方だ」(イングランド代表GKセザール)
「不愉快だ」(スペイン代表GKカシージャス)

などの声が挙がってきており「GK泣かせ」のボールと言われている。

限りなく真球、無回転シュート蹴りやすい

   公式球を開発・製造したアディダス社のリリースによると、「ジャブラニ」には、06年のドイツ大会の公式球「チームガイスト」にも使われた「サーマルボンディング」という技術が使われている。ボール表面のパネルを熱圧着させる技術で、表明が滑らかになり、どの部分を蹴っても均質な反発力を得ることができるという。

   また、「チームガイスト」は14枚のパネルからできていたが、「ジャブラニ」はわずか8枚。真球に限りなく近くなった。これにより、大幅にキック精度が上がったとしている。

   一般的に「ぶれ球」は、無回転で飛んだボールの周囲に気流の渦ができることで軌道がぶれるとされている。スポーツ用品業界関係者からは、「コントロール性能の上がった『ジャブラニ』では、回転をかけたいと思えばかけられる一方で、無回転シュートも狙いやすくなっている。そのため『GK泣かせ』と言われているのでは」という指摘も出ている。

   「ジャブラニ」はドイツ国内リーグの一部試合のほか、3月からJリーグでも使われている。中村俊輔選手は3月に、「こするより当てる感じ。その方が速くてボールの軌道がブレない」とコツを掴んだかのような発言をしているが、「ジャブラニ」ははたして日本代表に有利に働くのだろうか。

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