キャミソール、少女コミック、おもちゃ、パチンコ効果音CD…。荒井聡国家戦略相(64)の後援会の領収書からは、ある種の生活感あふれる購入品が次々に見つかった。当初は、政治活動に充てたと胸を張ったが、矛盾を指摘されると、説明はコロコロ変わって…。
領収書にあった「パラダイスキス」は、映画化された「NANA」などで知られる矢沢あいさんの少女コミックだ。荒井聡氏の後援会は、それを2008年4月30日に計5巻、4495円分を購入していた。
「少女コミックは秘書が自費で」と説明変え
領収書には、テレビドラマ化もされた「神の雫」などのコミック名もあった。新聞各紙に載った領収書写真を見て、識別コードを検索すると、ほかにも少女コミックなどを購入していたことが分かる。
このほか、とても事務所の備品・消耗品費とは言えない品目も次々に見つかった。各紙によると、キャミソールなどの衣料品18点2万2670円、デパートでのおもちゃ代7350円、パチンコ効果音のCD2500円、などなど。
公開された07~09年の領収書は、大半がタクシー代、電話料金だった。しかし、少額とはいえ、税金も使われる政治資金の使途としては疑問符が付くものだ。
荒井氏は2010年6月10日、こうした出費に反省も口にしたものの、「政治資金はそういうものに使うのを禁じていない」と強弁した。
ところが、荒井氏は11日になって突然、少女コミックなどは秘書が自費で買ったものだと主張を変えた。各紙によると、コミックなどのレシートが混入したのだといい、荒井氏は修正申告することを明かした。
また、キャミソールなどの衣料品は、荒井氏が07年の北海道知事選に出馬したとき、応援に来た秘書のため急きょ用意したと説明した。パチンコ効果音のCDも、知事選用の会場でバックグラウンドミュージックとして利用したというのだ。
女装趣味については否定
これらの説明で事務所費としてつじつまを合わせたようだが、領収書の日付から説明に矛盾が見つかった。
キャミソールなどは08年購入になっているのに、知事選と時期が合わないからだ。ネット上でも、こうした疑問点が話題になり、荒井聡氏は2010年6月11日夕になって、さらに発表を修正した。
荒井氏の事務所担当者は、取材に対し、キャミソールなどの衣料品は、08年4月に山口県で衆院補欠選挙があったとき、応援に来た秘書のため急きょ現地調達されたものだとした。また、パチンコ効果音のCDは、08年5月22日に東京でパーティーを開いたときに音響用に使ったという。パーティーでなぜこのような音楽を使うかについては、ユーモアも含めた演出だったとしている。
厳重に管理されているはずの政治資金の説明が、なぜこんなにコロコロ変わるのか。しかし、事務所担当者は、「問い合わせが多く、記憶違いもあって、状況を説明し切れませんでした」と歯切れが悪かった。
このほかにも、説明には疑問が多い。秘書の自費レシートを政治資金の領収書に混ぜたとしたことも、その一つだ。これについて、事務所では、「領収書を整理せず溜め込んでいたため、今回のような事態が起こってしまいました」。つまり、それだけずさんな管理だったということだ。
キャミソールに加え、女装するキャラが登場する「パラダイスキス」も購入していたことから、ネット上では、荒井氏に女装趣味があるのでは、といううがった見方も出た。この点については、これらを購入したのは女性秘書だとして、そうした趣味を否定している。