世界のファッションの中心地、米・ニューヨーク5番街から高島屋が姿を消した。景気悪化の影響で赤字経営が続いていたためだが、一方でこれと入れ替わるようにユニクロが、同地区に超大型店舗の出店を予定している。世界的に見ても、ファッション流通の主役が百貨店からユニクロやH&Mに代表されるSPA(製造小売業態)に変わろうとしている現れだ。
ニューヨーク高島屋は1958年にオープンした。現在の店舗には1993年に移転。ティファニーやルイ・ヴィトン、アルマーニなどの高級ブランド店が集中する5番街に位置する。店舗面積は1705平方メートルで、約70名の従業員を抱えていた。
NY高島屋「かつての役割を終えた」
2010年6月5日に閉店、半世紀の歴史に幕を閉じた。店舗は今後売りに出される方針。広報室担当者によると、世界的な景気悪化の影響で業績が低迷。07年度に約21億円あった売上が、09年度は約15億円にまで落ち込むなど、この2~3年は赤字経営が続いていた。
かつては欧米に店舗を持つことが、高島屋のブランドイメージをアップさせるだけでなく、有名海外ブランドの出店誘致にも有利に働いた。だが、「既に一定の役割は果たしたと見ています」(高島屋広報室担当者)。今後は、将来有望なアジアに重点を置きたいとしている。
一方、高島屋と入れ替わりでニューヨーク5番街に出店するのがユニクロだ。ファーストリテイリング社は2010年4月、新店舗地として、高島屋から2ブロック離れた場所にある物件の賃貸借契約を結んだと発表した。早ければ11年にオープンすると見られている。売り場面積は8300平方メートル、同地区にあるH&M店舗の倍以上で、ユニクロとしても世界最大級の店舗となる。賃料は年間約18億5000万円だという。