賃金情報が瞬時にネットかけめぐる時代
人々の意識の変化も大きい。テレビやインターネットで上海や北京などの大都会で成功した人の暮らしぶりが地方にも知れ渡っている。そんな豊かな生活にあこがれて農村から出てきたのに「なぜ自分たちは油まみれで朝から晩まで働いているのに、たこ部屋のようなところに住まわされ、金もたまらないのか」という不満もたまっているようだ。
特に80年代から90年代生まれの若者世代は、それ以前の世代と意識がまるで違うとされる。かつての「農民工」は農村に仕送りして家計を支えたものだが、以前よりは豊かになった家庭で一人っ子政策のもと大事に育てられた今の若者は、自分たちのために金を使うし、権利意識も高いという。
このため「同じような仕事をしているのに部品工場より完成車工場の方が給料が高いらしいのはなぜか」「日本人が破格に見える給料をもらっているのはなぜか」という不満がマグマのように高まっているようだ。
今回のホンダの争議も「完成車工場より賃金が安いらしい」といううわさが発端とされる。こうした賃金情報は瞬時にインターネットをかけめぐるだけに、中国に進出する日系メーカーは今後、より慎重で丁寧な対応を迫られそうだ。