ホンダ部品工場でストライキ 中国の労働事情様変わり

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   ホンダの中国広東省の部品(変速機)工場で2010年5月17日、待遇改善を求める労働争議が発生し、操業停止が続いた。変速機の供給が止まったため、中国内の4完成車工場の操業も2週間程度止まった。変速機工場では6月4日に労使が最終合意し、完成車工場も通常操業に戻った。

   今回の争議は好調な経済を背景に賃上げ圧力の高まる中国の労働事情の変化を示しており、ストライキは他メーカーにもリスク要因だ。

内陸部でも「出稼ぎ」なしで暮らせる

   従来、「農民工」と呼ばれる内陸部の出稼ぎ労働者が、沿海部の工場に安価な労働力を提供することで、「世界の工場」となった中国製造業の競争力を支えた。しかし、今回のホンダの労働争議は、この構図が崩れつつあることを如実に示すものだった。

   日本貿易振興機構(ジェトロ)などによると、中国の労働市場の変化の理由の一つとして、リーマン・ショック後に中国政府が打ち出した総額4兆元(約54兆円)の景気刺激策があるという。刺激策は、沿海部と内陸部の格差を縮めて内陸部の不満を解消するため、内陸部で公共工事を増やした。この結果「出稼ぎ」せずとも暮らせる人が増えた。このため出稼ぎが減る一方、人手が足りず沿海部の工場で労働強化がされているという。日本で高度成長期以降、全体の生活レベルが上がるのと軌を一にして、東北地方などからの出稼ぎ労働者が減ったのと似ているとする識者もいる。

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