菅直人首相は2010年6月8日、首相として初めての会見を首相官邸で開いた。鳩山政権から数えると、フリー記者も参加できる「オープン首相会見」としては4回目だ。だが、今回の会見では、オープン化については「総論賛成、各論反対」ともとれる消極的な答弁を繰り返した。
記者会見のオープン化をめぐっては、鳩山由紀夫前首相が3月26日の初めてのオープン会見の中で、「これからは極力、できるだけ多く記者会見を開いていきたい」と述べ、各省庁でも同様にオープン化を進めていきたい考えを表明していた。
「ドゴール大統領、頻繁に会見した訳ではない」
ところが、オープン化への意欲を問われた菅首相の答弁は、鳩山前首相とは対照的なものだった。菅首相は
「開くという意味が具体的にどういう形が適切なのか、総理という立場で検討に至っていない」
と断った上で、
「オープンにすることはいいが、ややもすれば、取材を受けることによって、そのこと自身が影響して政権運営が行き詰まるという状況も、何となく感じられる。政治家がやらないといけないのは、(自身の場合は)『内閣総理大臣として何をやるか』。『いかに伝えるか』は、米国では報道官という制度がある。かつての(フランスの)ドゴール大統領は、そう頻繁に記者会見を行っていなかったようだが、だからといって『国民に開かれていなかった』かと言えば、一概にはそうとも言えない」
と、記者会見を開く回数を増やしたり、参加を認める対象を広げることについて消極的な姿勢を示した。
さらに、
「あるフリー記者が、官邸の担当者から『私の権限で、あなたを記者会見に出席させないことができる』と言われた。その記者は、検察や警察の不正を追及してきた。総理は、(今後)過去の活動実績や、個人の思想信条で会見への出席の可否を決めて良いという判断をするのか」
との質問についても、
「一般的には、出来るだけオープンにするのが望ましいと思っている。ただ、オープンというのが具体的にどういう形が望ましいのかについては、しっかり関係者の意見を聞いて検討したい」
と、同様の答弁を繰り返した。