居酒屋の低価格競争が激しさを増している。大手ワタミは料理の7、8割が250円というセルフ式の低価格業態をオープンする予定だ。このほか、400円以下のメニューを増やすチェーンや、料理と飲料が全品270円という居酒屋が急拡大している。焼酎を無料で提供する店も登場した。
居酒屋大手のワタミは2010年6月下旬から7月上旬を目途に、低価格の新業態を都内に出店し、年内に10店舗まで増やす計画だ。
ワタミはセルフ式居酒屋をオープン
ワタミの新業態は、料理の7、8割が1品250円で、それ以外は500円。低価格の秘けつは人件費を抑えたこと。お客はテーブルの端末で注文し、料理は自分でカウンターまで取りに行くセルフ式を採用した。「和民」の客単価が2600円なのに対し、新業態は1800円を想定している。
同社広報担当者は、
「会社員を中心に30分~1時間飲みたいという『ちょい飲み需要』があり、マーケットを拡大できると考えました。また09年夏から消費が伸び悩み、市場は緩やかに縮小するだろうと見て、低価格業態にしました」
と話す。
コロワイドは居酒屋「甘太郎」で5月から299円と399円のメニューを増やし、400円以下のメニューが全体の約4割を占めるようにした。ビールは30円引き、ハイボール50円引きにし、サワーやカクテルも値下げした。3月に値下げを先行した6店舗では、客数が10%増えた。
低価格居酒屋のパイオニアは居酒屋「東方見聞録」「月の雫」などを展開する三光マーケティングフーズだ。
「全品270円居酒屋」を85店舗、出店している(5月31日現在)。サラダ、寿司、1品料理、デザートなど全料理と、生ビール、カクテル、サワーなど全飲料が270円(税込み284円)だ。20、30歳代が多く、客単価は2000円前後。