失敗のリスクを減らすための出費
家具店「スタイリクス」を運営するフォー・ディー・コーポレーション(東京・新宿)は、1か月単位で家具をレンタルできる「スマートプラン」を設けている。
ひと月のレンタル料は商品代金の約3%だ。例えば、ダイニングテーブル(定価5万9800円)とダイニングチェア4脚(同7万5600円)をレンタルする場合、1か月目は4410円、それ以降は4400円だ。セミダブルベッド(同8万8200円)とマットレス(4万950円)は、1か月目は6430円、それ以降は4100円だ。気に入れば買い取ることもできる。
広報担当者によると、08年は最初から商品を買う人とレンタル後に買う人が半々だったが、09年はレンタル後に買う人が約65%に増えた。
「不景気の影響で高額商品の買い物に慎重になり、レンタルで借りて問題なければ買うというニーズが高まっていると思います」
フランスベッドも家具のレンタルを行っている。期間は6、12、24、36、48か月の中から選べて、料金は商品によって異なる。学生や単身赴任の会社員のニーズを見込んでいるが、広報担当者は「お試し需要もあるのではないか」とみる。申し込みはウェブサイトと、六本木ショールームなど全国3カ所でも受け付けている。
また同社は5月14日にオープンしたショールーム「ライフサポートプラザ札幌」で、介護ベッドやつえ、シルバーカーなど福祉用品のレンタルを始めた。マットレスや全身マッサージ器が1週間3000円(一部4000円)で借りられるプランもある。
電通総研消費者研究センターの四元正弘・消費の未来研究部長は、
「値段が高いもの、消費期間が長いもの、自分の評価に関わるものは高関与消費と言い、買って失敗した場合に消費者は後悔しやすい。家具もそうです。料金にもよりますが、失敗のリスクを減らすための出費と考えると、お金を出してもお試しするメリットがあります」
と言っている。
また、企業にとっても無料のお試しはコストが大きいが、有料にすることで多少コストを回収できる。さらに、購買を真剣に検討しているお客にアプローチすることができるといったメリットがあるそうだ。