国会で第94代首相に指名された民主党の菅直人代表は2010年6月4日、都内で指名から初めての記者会見に臨んだ。組閣のポイントについては、「官邸の一体性、内閣の一体性」を強調したが、具体的な政策については慎重な言い回しが目立った。
菅代表は、国会で指名はされたものの、正式に首相に就任するためには、皇居で行われる親任式を経る必要がある。天皇陛下は6月4日から6月8日にかけて葉山御用邸(神奈川県葉山町)で静養中のため、正式に「菅首相」になるのは、6月8日以降だ。
「私がひとりで全てをやる訳ではない」
そのため、会見場に選ばれたのは、東京・永田町の民主党本部で5階の記者会見場で、会見のタイトルも「菅新代表就任記者会見」だった。
会見冒頭、菅代表は
「多少の時間をいただいて、新しい体制作りに入りたい。週明けの『そう遠くない時期』に、皆さんにご報告できる」
と、この週末で時間をかけて組閣を行いたい考えを示す一方、
「必ずしも、私がひとりで全てをやる訳ではない。相談した上で決めることが多いことは理解してほしい」
と、会見の場では必ずしも具体的な答えが出ないことに理解を求めた。
沖縄訪問についても慎重な答え
実際、具体的な政策に関する問いには、「先送り」ともとれる回答が目立った。例えば、「参院選では何が争点になるか」との問いには、
「新しい、しっかりとした体制ができた中で議論したい」
と前置きし、
「鳩山政権で着手した改革を実行していく段階」
などと述べたが、何が野党との対立軸になるかについては明らかにならなかった。
「普天間基地の移設問題で、沖縄を訪問する計画があるか」
との問いには、
「必要になれば出かけていくこともあるが、今の段階では申し上げにくい」
と、歯切れの悪い答えに終始した。
この会見をめぐっては、ツイッターを利用する政治家からも、早速批判的な「つぶやき」が行われている。自民党の谷垣禎一総裁は、
「菅さんらしくなく全体的に慎重な物言い。具体的ことがほとんど語られない」
と批判したほか、宮崎県の東国原英夫知事は、
「菅首相の記者会見、僕が見た限りにおいて、口蹄疫のこの字も出なかった」
と、失望感を隠さなかった。