木村剛氏「今回の件について真摯に反省する」
振興銀が短期間で営業拠点を全国に拡大し、高い金利をうたって預金残高を増やしてきた裏には「なりふり構わず事業拡大に突き進み、管理態勢の整備を後回しにした」(金融庁幹部)という根深い病巣がある。西野達也社長は会見で「利益追求を優先し、管理が甘かった」と認めて陳謝した。
西野社長はまた、処分前の5月10日に取締役会長を退任した木村氏については「不正への関与はなかった」と否定。当の木村氏は5月31日のブログで「今回の件について真摯に反省する」として、ブログを含めた活動休止を表明した。
金融庁が命じた一部業務停止は、6月7日から9月末まで。1億円超の新規融資と債権買い取り、融資・預金の勧誘などが対象になる。振興銀は普通預金を扱っておらず、解約に手続きが必要な定期預金だけのため、処分期間中に急速に預金が流出するなどの影響はないとみられるが、業務メールの削除などの「検査忌避」について振興銀を刑事告発するかどうか、金融庁の判断はこれからだ。刑事事件に発展するようなら、経営への一段の打撃は免れない。債権の二重譲渡をめぐる訴訟を含め、多くの経営課題を抱える振興銀の行方からしばらく、目を離せない。