日本料理店に女性板前次々登場 「きめ細やかな心遣い」が生きる

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「本人にやる気があれば性別は関係ない」

   「磯丸 熱海平和通り店」(静岡県熱海市)で寿司を握るのは全員女性のスタッフだ。「従来の寿司屋にはない店にしよう」と女性を集めて5年前に熱海店をオープンし、その3年後に平和通り店を開いた。平和通り店は70人が入る大型店で、多い日は600人が来店する。

   店長の稲本千恵さんも寿司を握る。重さ6キロのハマチもさばく。力仕事もこなし、「本人にやる気があれば性別は関係ない」。男性職人に劣らないが、「女性が握る寿司は食べられない」と年配の男性客に言われたこともある。

   もっとも、男性職人よりも女性のほうがいいという人もいる。寿司屋には珍しい女性の「おひとりさま」や若者も来店する。ファミリー層も多く、子連れのお客から「優しく接してもらえた」と感謝されたこともある。子どものいるスタッフもいるので、扱いには慣れているという。配膳や接客も手伝い、お客とのコミュニケーションを大切にしている。これも男性職人にはない魅力だと評判だ。

   プロを養成する辻調理師専門学校の企画部担当者によると、板前や寿司職人を目指す女性は増え、日本料理のクラスのおよそ4割を占めている。

   日本料理店は古くから徒弟制度が採用されている。修行は厳しく、かつては先輩の汚れ物を洗うのも仕事だった。ところが、日本料理の修業はとりわけ厳しいというイメージが広がり、板前を目指す若者が減ってしまった。このままでは若手が育たないという危惧が広がり、徒弟制度は変わりつつある。これが女性の板前が増えた要因にもなっている。

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