「学力低下」に悩む大学たち 高校レベルの補習4割

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   大学生の学力低下が叫ばれる中、高校レベルの補習を実施している大学が約4割にも及ぶことが文部科学省の調査結果でわかった。学科試験のないAO入試の導入などで従来の授業が成り立たなくなっており、中には、中学レベルの基本内容を10日間以上にわたって教える大学もある。

   文科省が2010年5月26日、大学の教育内容についての調査結果を発表した。全国の国公私立大学723校を対象に調査したところ、学力が足りず大学の授業についていけない学生に、高校レベルの補習をした大学は、07年度から20校増えて08年度は264校。約4割にも上った。学力に差があり、英語や理数系で学力別のクラスを設置した大学も282校あった。

動機付けからノートの取り方まで

   また、大学の授業に早く慣れるため「初年次教育」として学習方法などを教えた大学も595校と半数以上。大学での勉強に対して動機付けを行うプログラムを実施した大学が447校、ノートの取り方を教えた大学も316校あった。

   大阪工業大学では5年ほど前から数学と物理の補習授業を行っている。入学時のクラス分けテストで成績が奮わなかった生徒や、高校で履修していなかった学生などが対象で、高校レベルの内容から学ぶ。

   同大学教務課によると、AOや推薦など、科目数が少なかったり、学科試験自体がない入試方法が増えたりしたほか、高校カリキュラムの多様化で、数IIIや物理の履修経験のない学生も出てきた。このため、従来の大学の授業をそのままやることが困難になり、レベルを落とした授業の開設や、補習授業を行うに至ったという。

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