150万冊読める米国にはほど遠い
販売店を絞り込む戦略については「ブランドイメージの維持を狙っている」(アナリスト)との見方が一般的だ。アップルが最も恐怖を抱いているのは、家電量販店の安売り競争に巻き込まれて値崩れを起こすこととされる。発売間もない戦略商品がたたき売りにでもなればブランドイメージのダウンは避けられず、利益確保もままならない。そこで、コントロール下に置ける店舗でのみ販売すると見るのが自然だからだ。
こうしたなかで国内発売当日、iPadを手に入れるために徹夜の行列ができた、と各メディアは大きく報じた。ただ、そうした店はアップルが絞り込んだ販売店舗の中でもごく一部に限られたというのが真相。実際、都心部のある量販店は徹夜組など1人もいなかったし、予約していない人でもさほど時間をかけずに入手できたという。
こんな話題商品だが、今後の最大の課題はコンテンツ。電子書籍に対応するコンテンツは、漫画や雑誌はある程度はそろったが、書籍は日本独特の流通システムや著作権処理がハードルとなり、150万冊が読めるという米国にはほど遠い。5万円前後する価格に二の足を踏む消費者も少なくなく、発売直後の「熱気」をどこまで維持できるか注目される。